『「誤差」「大間違い」「ウソ」を見分ける統計学』

「適切なばらつき」が出るように作る「ウソデータ」。

会社ではよくデータをグラフ化します。
データによっては、違いを際立たせるために軸の設定を調整することもあります。
ある時、そんな工夫をしてグラフを作成したところ、上司から「おい、このグラフだとなんだかすごく変化しているように見えるから、直してくれないか?」と指摘されました。
もちろん、サラリーマンである私は言われた通りにグラフを修正しました。
すると今度は別のグラフに対して、「おい、このグラフだとなんだか全然変化していないように見えるから、直してくれないか?」と言われました。
もちろん、サラリーマンである私は言われた通りにグラフを修正しました。
こうして、ある資料の同じページには、軸の最小値が0から始まるグラフと、10,000から始まるグラフが、何の違和感もなく(?)仲良く同居することになったのです。

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書名:『「誤差」「大間違い」「ウソ」を見分ける統計学』
著者:デイヴィッド・サルツブルグ(著)、竹内惠行(訳)、濵田悦生(訳)
出版:共立出版(2021.07)
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著者は元米ファイザー社中央研究所上級研究員で統計コンサルタント。
統計にまつわる「誤差」「大間違い」「ウソ」を紹介します。

翻訳ものです。
原題は『Errors, Blunders, and Lies: How to Tell the Difference』。
直訳すると『間違い、失態、そして嘘:その違いを見分ける方法』といった感じです。


アンケートの質問。
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あなたは万引きをしたことがありますか?
あなたは人をいじめたことがありますか?
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なかなか本音の回答を回収することは難しそうです。

人は見栄を張ったり、いい人を装うもの。
私自身、会社で無記名アンケートと称した本音を求める調査が来ますが、残念ながら、本音で答えたことはありません。

しかし、こうしたアンケート結果から正しいデータ(本音の割合)を見出すことができる手法を、本書は紹介しています。
それが「ランダム化回答法」です。

<本文引用>------------
いま、ある高校の生徒たちの中で、(飲酒や万引きのような)違法行為や反社会的行為を行ったことのある割合を調査したいとする。彼らに単に尋ねただけで、正直な回答が得られることは難しいであろう。しかし、「ランダム化回答法」というテクニックがある[1]。
適切な調査に向けて生徒のサンプルを選び、次の問いかけで調査を行うものとしよう。
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これからあなたに二つの質問をします。一つは答えたくないものかもしれませんが、もう一つは当たり障りのないものです。その質問は
  1. あなたは先月飲酒や万引きをしましたか?
  2. あなたはこの町で生まれましたか?
これらの質問のうちどちらかに「はい」か「いいえ」で答えてください。ここにー組のカードがあります。確認してもらってもよいですし、好きなだけシャッフルしてもらっても構いません。その後、一枚のカードを引いてください。私に見せる必要はありません。そのカードがもしクイーンであれば2番目の質問に答えてください。違うカードであれば、1番目の質問に答えてください。最後に引いたカードを戻し、シャッフルしておいてください。
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(本文より)
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こうした「見栄」や「嘘」の混じった回答から、正しい結果を得るにはどうしたらいいのか?

<本文引用>------------
調査者がこの生徒から得たものは「はい」か「いいえ」のみである。それは、調査の段階で二つの質問のうち、どちらに答えたのか知らないからである。ここから、どうやってこの違法行為をした生徒の割合を知ることができるのであろうか? ここで、簡単な数学的モデルを作ろう。

  Prob{回答は「はい」} = πp1 + (1 - π)p2            (12.2)

ただし、p1はこの町で生まれた確率で、p2は違法行為を行った確率であり、πは一組のカードからクイーンを引く確率である。
このとき、一組のカードにクイーンは4枚なので、

  π = 4/52= 1/13

であり、p1はこの学校の生徒の中でこの町で生まれた人数を調べることから得られる。
この調査で「はい」と回答した割合を計算することによって、目的である違法行為をしたという割合を推定することができるのである。
仮に「はい」と答えた生徒の割合が43%で、学校の生徒の中でこの町で生まれた生徒が70%であるとしよう。
そうすると、式(12.2)から

  0.43= 1/13 × 0.70 + (12/13)× p2
    p2 = 0.408

が求まる。回答する生徒がどちらの質問を選んだかを知ることなく、違法行為もしくは社会的に受け入れられない行為を行った学生の割合が約41%であることを得ることができるのである。(本文より)
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これは、応用できそうですね。


以前読んだ『心理学の7つの大罪――真の科学であるために私たちがすべきこと』
有意性が出るようなサンプルデータを使って仮説検証を行う「p値ハッキング」。
その結果を見てから、それが最初に立てた仮説だったと言い張る「HARKING(ハーキング)」。
こちらの作品では、そうした様々な「ウソ」の手法が紹介されていました。

一方、本作で紹介されているのは、データそのものが「ウソ」であるというケースです。

<本文引用>------------
そんな巧妙なうそつきの例としては、英国の教育心理学者のシリル・バー卜卿(Sir Cyril Burt, 1883-1971)が20世紀前半に行った研究がある(参考文献[1] を参照文献を参照せよ)。パートは、生まれてから離ればなれになった一卵性双生児のグループを追跡することによって、彼のキャリアを築いた。そんな一卵性双生児が成長した後の知能検査の結果を研究することによって、生まれ持った気質は育て方よりも重要である、と結論付けた。異なる家庭(ときには異なる国)で育ったにもかかわらず、一卵性双生児の2人の知能検査の結果はどれも、異なる環境で育った子供たちによる結果よりもより似通っていたのである。バートの研究の結果、英国政府は、11歳の子供たちを対象とする知能検査を使って、どの子供たちがより高等教育へ進学し、どの子供たちが手に職をつける訓練をするかを指定するようになった。
1971年のバートの死後、いくつかの疑問を解消するために彼の共著者に会うことが試みられた。彼の論文はいつも女性の共著者たちがいて、検定や作表を手伝っている女性たちだろうと思われていたのだが、その女性たちを探し出すことはできなかった。
バートの出版された研究に、どれほど偽造が含まれていたかについてはまだ議論の余地があるけれども、多くの批評家は、これらの共著者たちは存在しなかったと結論付けた。しかし批評家たちは、彼の業績において偽造された共著者名を使い続けたことを問題にし、生まれてすぐ離別した一卵性双生児を追跡しておらず彼のデータがすべて偽造されたものであったと主張した。(本文より)
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この「ウソデータ」がなかなか見破れなかった理由は、データに「適切なばらつき」があったこと。
本作では、このシリル・バートが行った「ウソ」の具体的なテクニックが紹介されています。

<本文引用>------------
とはいえ、彼の論文で示されたデータは正真正銘のように見えた。適切なばらつきもあった。ときどき同じデータセットが彼の異なる論文で異なる状況を説明するのに繰り返し使われているけれども、ランダム性に対する様々な検定もパスした。そうこうするうち、調査員たちはバートの本棚に、多くのページに印のつけられた1冊の年鑑を見つけた。パートはその年鑑から様々なデータをコピーし、データの小数位を変更することで正しい範囲にデータが入るようにしていたのである。
私が特定できた偽造者の中では、シリル・バートほど洗練されたデータ造者はいなかった。私の経験では、適切なばらつきのなさがうそつきデータの大きな特徴なのである。(本文より)
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「適切なばらつき」が現れるように、計算して「ウソデータ」を作っていたんですね。

シリル・バートが活躍したのは20世紀で、1946年(当時63歳)に心理学者として初めてナイトの称号が授与されたそうです。
心理学のデータに関する疑惑や問題は、すでにこの頃から存在していたんですね。


◆頭の中でシンクロした他の完読作品
『「誤差」「大間違い」「ウソ」を見分ける統計学』
『心理学の7つの大罪――真の科学であるために私たちがすべきこと』

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■読んだきっかけ:Amazon
■読んで知ったこと:「適切なばらつき」が出るように作る「ウソデータ」。
■今度読みたくなった作品:『データ分析失敗事例集: 失敗から学び、成功を手にする』尾花山和哉ほか
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「誤差」「大間違い」「ウソ」を見分ける統計学 - デイヴィッド・サルツブルグ, 竹内 惠行, 濵田 悦生
「誤差」「大間違い」「ウソ」を見分ける統計学 - デイヴィッド・サルツブルグ, 竹内 惠行, 濵田 悦生




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『中央公論2026年7月号』

「イスラエル化」する世界。

1607年、イギリスは現在のヴァージニア州に、イギリスとして初の恒久的な植民地「ジェームズタウン」を建設します。最初は金(ゴールド)が見つからず、飢餓で全滅しかけましたが、先住民の土地を奪って始めたタバコの栽培・輸出が大ヒットし、植民地経営が初めて軌道に乗りました。
1620年には、宗教難民である清教徒が定住化を開始します。このプロテスタントの急進派たちは、本国での迫害を逃れ「信仰の自由」を求めていました。
こうして「儲けを狙う南部」と「理想の社会を築こうとする北部」の両輪でイギリスからの人口流入が加速します。オランダなどの競合国を戦争で追い落としながら、18世紀前半までに東海岸一帯に「13の植民地」が完成しました。
1776年7月4日、イギリスの植民地だった13州が独立宣言を発しました。アメリカではこれを独立記念日としており、2026年でちょうど250周年を迎えます。

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書名:『中央公論2026年7月号』
著者:中央公論編集部
出版:中央公論新社(2026.06)
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本誌は中央公論新社が発行する月刊総合雑誌。
本号の特集は
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特集:建国250年 アメリカを学び直す
特集:石油危機と日本の命運
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です。

特集「建国250年 アメリカを学び直す」の「〔対談〕「再キリスト教国化」されるアメリカ  福音派はなぜイスラエルを支持するのか」。
加藤喜之氏(立教大学教授)と鶴見太郎氏(東京大学准教授)が宗教面でのアメリカについて意見を交わします。
加藤氏は『福音派—終末論に引き裂かれるアメリカ社会』、鶴見氏は『ユダヤ人の歴史』の著書です。

この記事を読んで思い出したのが、私の周囲で時折耳にする「ホロコーストという未曾有の迫害を経験したユダヤ人が、なぜ今、パレスチナ人に対して同じように過酷な仕打ちを行えるのか」という素朴な疑問です。

<本文引用>------------
鶴見  〈中略〉よく「ホロコーストのような悲劇を経験したイスラエル人が、なぜガザの人々に対しては残忍な加害者として振る舞うのか」という質問を受けます。理由は複合的なものですが、やはり被害を受けたことによる自衛意識が非常に強く、「周りはどうせ助けてくれない。だから自分の安全は自分で守らなければならない」という考え方が根底にあります。この被害者意識が善悪二元的な世界観と結びついてしまう。(本文より)
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私も「ひどいことをされた人は、他人に同じようなひどいことをしないはずだ」という主張には反対の立場です。

もしその主張が正しいとすれば、社会心理学でいう「破壊的権利付与」という概念や、虐待で逮捕された親が「自分も子供時代に虐待を受けていた」と語るような現実はあり得ないはずだからです。

<本文引用>------------
加藤  我々は先入観からか、あるいはイスラエルの宣伝の成果なのかはともかく、ホロコーストの悲劇に見舞われた被害者という形でイスラエルを捉え、「そんなかわいそうな人たちが、まさか他人にひどいことをするはずがない」と考えがちです。
しかし鶴見先生が『シオニズム』で「いじめ」に喩えて書かれていたように、被害を受けたことと、加害者になり得ることとは別の問題です。ご著書を読んで、むしろユダヤ人が 「弱く女々しい被害者としてのユダヤ人像」を払拭し、「男性的国家になりたい」と考えていることも知りました。そうだとすれば、今のイスラエルの行動も腑に落ちます。(本文より)
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加藤氏は続けます。

<本文引用>------------
〈中略〉具体的にはハマスやイランが攻撃してくることによって、「やはり敵は出現し続けるのだ」と確認する。なぜハマスやイランがイスラエルを敵視するのかという相手側の動機には全く関心がなく、「イスラム主義に組み込まれた行動であり、衝突は不可避である」といった捉え方をしています。そのため、敵として力で排除する以外の選択肢はなく、話し合いや妥協の余地はありません。
なかでもネタニヤフはそうした傾向が強い人物ですが、その政権が続くほどにイスラエルに対する国際的な風当たりも強くなり、テロの標的にもなりやすくなる。しかしそれをむしろ逆手にとって、「やはり敵は出現するのだ。であるならば排除・殲滅するほかない」という発想を強めていく。この悪菌環はネタニヤフが政権を離れたとしても続くのではないかという気がします。(本文より)
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この理屈でいうなら、パレスチナ側が何も仕掛けなければ、イスラエルが攻撃する大義名分はありません。
しかし現実には、ハマスのような組織が手を出して(奇襲を仕掛けて)しまいます。それがイスラエル側から見たら「ほら、やっぱり」になるんでしょうね。

そして、こうした「攻撃された被害を理由に、徹底的な反撃や排除を正当化する」という心理的な流れが現在のアメリカにも波及しており、対談ではこれをアメリカの「イスラエル化」と呼んでいます。

<本文引用>------------
「イスラエル化」する世界

加藤  こうした事象は世界の潮流の中に位置づける必要もあるのではないかとも思います。イスラエルがこれまで自国の生存を第一に、手段を選はないサバイバル国家としてやってきた構図は、すでにアメリカにも波及しています。従来は世界の秩序やリベラルな価値観、自由貿易を担保してきたアメリカが、トランプ政権になってからは「そんなものの雑持よりも、死に物狂いで自分たちを守る方が先だ」という方向に進んできています。(本文より)
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そんな話題満載のアメリカですが、2026年11月にはいよいよ中間選挙が実施されます。
アメリカの中間選挙は、4年ごとの大統領選挙のちょうど中間(大統領の任期2年目)に行われ、現政権の前半2年間に対する国民の評価が下される極めて重要な選挙です。

二大政党制の国アメリカにおいて、トランプ大統領率いる共和党に対抗する民主党は、果たして支持を集めることができるのでしょうか。
この点について、同特集「建国250年 アメリカを学び直す」に渡辺靖氏(慶應義塾大学教授)が寄稿している「分断が加速する実験国家 民主主義再生の手掛かりはどこに?」が、大きなヒントを与えてくれます。

<本文引用>------------
「政府」を広く「ワシントン政治」 と捉えるなら、信頼度の低下は90年代のロス・ペロー旋風、そして近年のバラク・オバマ旋風やトランプ旋風など、ワシントン政治の変革を訴えるアウトサイダーが躍進を遂げた時期と重なる。オバマ氏とトランプ氏は多くの点で「水と油」の関係にあるが、政治的原動力の源泉は同じである。
政治不信の理由はさまざまだが、有権者の現状不満、とりわけ中間層の没落や格差拡大が最も大きいだろう。「大きな政府の時代は終わった」 とビル・クリントン大統領が述べたのは1996年の一般教書演説だが、従来、労働者層を支持基盤とした民主党は「中道路線」「右旋回」に舵を切り、ウォール街やシリコンバレ ―との関係を深めた。冷戦が終わり、 アローバル競争が激化したこと、IT・金融を軸に産業構造が変化したこと、民主・共和両党の勢力が拮抗するなかで金権政治が加速したことなどが背景にある。(本文より)
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私が中学生の頃(1980年頃)、アメリカには共和党と民主党という二つの大きな政党があって、その二党が政権を争っていると習いました。その際、先生は「共和党は金持ちや経営者の味方で、民主党は貧しい人や労働者の味方だ」と言っていたのを覚えています。
子どもながらに「金持ちか貧しい人か、経営者か労働者かって、ずいぶん乱暴な分け方をするものだなあ」と思ったものでした。

では、現在のトランプ政権に対抗する民主党は、果たして今のアメリカ国民から十分な支持を得られているのでしょうか?

特集「建国250年 アメリカを学び直す」に三牧聖子氏(同志社大学教授)が寄稿する「民主党がトランプ政治を打破する道は ――「民主社会主義者」の挑戦」。

<本文引用>------------
しかし注目すべきは、トランプ政権や共和党の人気が低迷している一方で、民主党の支持率が劇的に回復しているわけではないことだ。 5月初頭に発表されたビュー・リサーチ・センターの調査によれば、米国成人の58%が共和党に否定的だが、 ほぼ同じ割合の59%が民主党にも否定的だ。つまり、トランプがあれほどやりたい放題やっているにもかかわらず支持の機運が高まらないほど、 民主党への人々の不信も根深いということだ。
それも無理はないという党の現状がある。2028年大統領選に向け、現時点での民主党の最有力候補は、24年大統領選でトランプに敗北したカマラ・ハリスだといわれている。本人もその気があるようだ。4月初頭、ハリスは「再び大統領選への出馬を考えている」と明言し、「私はその(大統領の)仕事が何かを知っているし、それに何が必要かも理解している」と述べた。
確かにハリスには、ジョー・バイデン政権の副大統領を務め、24年大統領選でトランプと戦った経験がある。しかし、そうした過去の遺産以上の強みがある候補ではない。自力で予備選から戦った20年の大統領選では早々に撤退を迫られている。24年大統領選でなぜ負けたのかについての批判的な総括すらないまま、知名度や経験などを理由に再び最有力候補としてハリスが浮上すること自体、民主党の再生が遠い現状を示している。(本文より)
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へー、2028年大統領選の民主党の最有力候補は、24年大統領選でトランプに敗北したカマラ・ハリス氏なんですね。
どんな選挙になるのか注目ですね。

現在連載している小説は相場英雄氏の『錆びた匙』。
日本の国会が舞台になっています。

<本文引用>------------
大塚はスマホのフォルダを開け、総選挙の取材時に保存した動画ファイルを探した。画面をスクロールすると、太田の待ち受けと同じように、池袋東口、大手百貨店の看板を背に演説する根来の動画が出てきた。
〈私は、三バンと言われる地盤も看板もかばんもない、みなさんと全く同じ、銀の匙とは無縁の普通の人間です〉
〈しかも私は身寄りがなく、一八歳まで児童養護施設で過ごし、その後は自分で生計を立て、こうして二度、民政党の候補になることができています〉(本文より)
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タイトルにある「錆びた匙」。
ここにつながるであろう「銀の匙」というワードは初めて出てきました。

2026年4月4日放送のTBS『報道特集』が組んだエネルギー危機特集で出演した境野春彦氏が主張する「今の状況が続いたら6月には日本が詰む」。
2026年7月時点で、私はいつものように会社に行き、いつものように頭を下げる日が続いています。
ということは「日本が詰む」にはなっていないようです。

しかし、その一方で、今回の機会を今後のエネルギー政策に活かすべきであるといった提言がさまざまに出ています。

特集「石油危機と日本の命運」に今井尚哉氏(内閣官房参与)が寄稿する「現状は日本史上最大級のエネルギー危機だ ガソリン補助金を撤廃し、ナフサを確保せよ」。

<本文引用>------------
真っ先に取り組むべきは、現在行っている「ガソリン補助金」の廃止です。これは節約どころか消費奨励策になっています。節約を促すなら、価格メカニズムを働かせるのが常套手段です。価格が上がれば上がるほど、自動車の利用を控える人は増えるはずですから。EVの推進もそうですが、ガソリン消費量を減らせれば、その分をナフサの精製に回すことができる。特に医療用など絶対に必要な量を確保するためにも、非常に大事な政策転換だと思います。
それからテレワークの推奨や、夜間の活動制限なども考えられます。外出や移動が減れば、エネルギーの消費も減らせますから。(本文より)
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価格を維持して「混乱の無い状態」を維持するのでなく、他の方法でも「混乱の無い状態」を生み出す。
確かに、コロナ禍の行動変容を思い出すと、それも可能なのかもしれませんね。

白鳥潤一郎氏(放送大学准教授)が寄稿する「量・価格・環境から読み解く 「資源小国」日本、試練の50年に学ぶ」。

<本文引用>------------
ここまで日本国内で危機が広がっていないのは、備蓄をはじめとした過去の対策の結果でもある。だが、 それが続けられる時間はそれほど長くないし、備蓄や供給源の多様化が進んでいなかったところから順番に影響は訪れる。既にナフサやその関連製品を中心に影響が出ているが、その他についても危機は順番にやってくる。
GXに向けた再生可能エネルギー導入のために電気料金に一定額の賦課金を課す一方で、ガソリンや電気・ガス価格を抑制する補助金を出すのは、ブレーキとアクセルを同時に踏むようなものである。物価高対策は必要だとしても、市場メカニズ人が機能する形でなければ副作用が大きいし、国民のエネルギーリテラシーはいつまでも向上しない。
日本は第一次石油危機以来、半世紀ぶりに「価格」に加えて「量」の危機に直面している。「価格」は補助金で誤魔化し続けられるわけではない。そして「環境」はエネルギー問題を考える上で無視し得ない中長期的課題である。(本文より)
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過去の良かったことを踏まえつつ、更に、もっと進化した方法を考える。
大切ですね。


◆頭の中でシンクロした他の完読作品

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■読んだきっかけ:『中央公論2026年6月号』中央公論編集部
■読んで知ったこと:「イスラエル化」する世界。
■今度読みたくなった作品:『中央公論2026年8月号』中央公論編集部
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『「頭がいい」とはどういうことか―脳科学から考える』

情報を受けてから行動するまでに通過する脳内の3つのフィルター。


会社で「Microsoft Teams」を使っています。

便利ではありますが、少し困るのが「メンション」です。

使い始めた頃は「あっ、自分宛のメッセージだ!」と思って嬉しかったりするものです。

でも、そのメンションの数も増えていき、更に開いてみても、急ぎではない用件だったりすることが増えていきます。

でも、それ以上に困るのが、集中が途切れてしまう感覚です。

私のキャラクターのせいかもしれませんが、オフィスでは頻繁に「ちょっといいかな?」「このExcelどうやるの?」と声をかけられることが多く、コロナ禍のリモートワークは本当にありがたく感じていました。

今では「メンション」にも慣れ、通知が入っても気にせず無視して、後回しにすることに抵抗がなくなりました。


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書名:『「頭がいい」とはどういうことか―脳科学から考える』

著者:毛内拡

出版:筑摩書房(2024.04)

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著者はお茶の水女子大学 基幹研究院自然科学系助教。

最新の脳科学の研究成果から「頭がいい」を解説します。



著者はお茶の水女子大学 基幹研究院自然科学系助教。

最新の脳科学の研究成果から「頭がいい」を解説します。


「頭のよさ」を考えるにあたり、私が思い浮かべるのが「集中力」です。

冒頭でお話しした「Microsoft Teams」。

リアルな「ちょっといいかな?」はなくなったのですが、今度はパソコンのタスクバーに通知マークが点灯します。


今までは「ちょっといいかな?」で仕事が中断されるのを嫌がっていた私ですが、最近は自分でタスクバーの通知マークを見つけると、ついクリックするようになってしまいました。

「あとでまとめてチェックしよう!」と決めてはいるのですが、どうしても気になって仕方がありません。


<本文引用>------------

話を戻しますが、つまり多くの人は、新しい情報、未知なる体験、非日常感を求めてやまないもので、これも脳がそのようにできているからであり仕方がないのです。新しい名所が好きなのも、新しいアトラクションがあったら試したくなるのも同様です。私たちは、日常とは違う空間、異なる時間の過ごし方、切り取り方を求めているのです。(本文より)

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新しい情報を伝えるマークが気になってしまうのも、どうやら致し方ないことのようですね。


<本文引用>------------

余談ですが、人は一旦集中力が切れてから回復するまでに二三分かかるというデータを見たことがあります。スマホやパソコンの通知が鳴るとどうしても見たくなってしまい、 そこで集中力が途切れてしまいます。一つ通知が鳴るたびに二三分ロスしていると言っても過言ではありません。なんだか悔しいですね。

通知のこない夜に、日中できなかったことをすることを「リベンジ夜更かし」というそうです。しかし、そうすると翌日日中のパフォーマンスが下がってしまい、また夜更かしするという悪循環になり、慢性疲労状態になってしまいます。そういうわけで、私は最近は必要最低限以外の通知を切るように設定しています。スマホが悪いとは言いませんが、情報は自分から取りに行きたいものです。(本文より)

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便利な「Microsoft Teams」ですが、本当に集中したいときは、起動させない方がよさそうですね。



同じ情報を受け取っている人同士でも、その後のアウトプットが人によって大きく違っているのは、よくあることです


<本文引用>------------

結局、同じものを見ても聞いても、脳には三つのフィルターがあるため、完全にわかり合うのは難しいものです。〈第一のフィルター〉は、感覚のゲート機構です。二つ目は、 経験と記憶から構成される予測、そして三つ目は発露する・しないのフィルターです。同じものを見ても聞いても、フィルターの働きによって反応が違ってくるのです。(本文より)

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フィルター1 感覚のゲート機構

フィルター2 経験と記憶から構成される予測

フィルター3 発露する・しないのフィルター


なかでもフィルター2は、情報を受け取る側の「内部情報」が大きく影響しそうです。

もう、この段階でアウトプットに大きな差が出てきそうですね。

さらにフィルター3は、その人のその時の気分状態が大きく影響しそうです。


では、「人によって受け取り方が違う! だから、どんな情報を与えても意味がない!」となってしまうのでしょうか。


著者はむしろ、その「違っている」という事実を、お互いに認識し合うことこそが大切なのだと述べています。


<本文引用>------------

それよりも、みんな違うことを認め合うことの方が重要だと私は思います。

本質的にわかり合えない私たちがどうにか社会を形成しているのは、そこに社会的合意があるからです。私の故郷には、大沼という名前の湖があるのですが、これを見て沼と感じるか湖と感じるかは人それぞれですが、社会的合意を持ってこれを湖とするということで無益な論争を避けることができます。このような社会的ルールが、経験となって知恵ブクロ記憶となって、世界のモデルを作っていきます。

同様に私たちは、相手が同じような心を持っているだろうという前提でコミュニケーションをはかりますが、これも社会的合意のようなもので、その方がさまざまなことがスムーズに進みます。それに私たちの脳には、ありとあらゆるものに心を感じるという特異な性質が備わっています。このような性質は「心の理論」として知られています。例えば、 私たちはコンピュータースクリーン上で点滅する二つの相互作用する点にすら、意図や意志のような心を感じてしまいます。

心を社会的合意に基づいて想定してもその解釈は各々違いますので、結局わかり合うことは難しいと言わざるを得ません。したがって、根気強いコミュニケーションが必要となります。

昨今、心理的安全性やアサーティブ・コミュニケーション、ワンオンワン・ミーティングなど、コミュニケーションに関する関心が高まっているのは、そこに問題意識を感じる人が多いことの表れでしょう。コミュニケーションがうまく行っていると思っていても、実は独りよがりに過ぎなかったという経験などが増えてきたのかもしれません。(本文より)

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同じ情報を受け取った人たちが、それぞれ違った認識や行動をする。

その事実はなんとなく分かっていましたが、今回、そのメカニズムへの理解の解像度がより上がったように感じています。



◆頭の中でシンクロした他の完読作品

『「頭がいい」とはどういうことか―脳科学から考える』 

『「あっ、忘れてた」はなぜ起こる ―心理学と脳科学からせまる』 

『考えてはいけないことリスト』 


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■読んだきっかけ:YouTubeチャンネル「著者が語る」

■読んで知ったこと:情報を受けてから行動するまでに通過する脳内の3つのフィルター。

■今度読みたくなった作品:『もっと! : 愛と創造、支配と進歩をもたらすドーパミンの最新脳科学』ダニエル・Z・リーバーマン

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