『セミコロン かくも控えめであまりにもやっかいな句読点』

英文の句読点が持つそれぞれの意味。


日本語には「句読点」があります。
文章を区切る際に使用する「。」(句点)と「、」(読点)を総称した言葉です。
英語にも「句読点」があります。
カンマ(comma「, 」)、ピリオド(period「 .」)、コロン(colon「:」)、セミコロン(semicolon「;」)です。
英語を得意としていない私ですが、それでも受験をはじめ英作文などで、英文を書くことはありました。
でも、コロン(colon「:」)やセミコロン(semicolon「;」)を使った英文をまったく書いたことがないことに気が付きました。

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書名:『セミコロン かくも控えめであまりにもやっかいな句読点』
著者:セシリア・ワトソン(著)、萩澤大輝(訳)、倉林秀男(訳)
出版:左右社(2023.09)
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著者はバード大学の訪問研究員で哲学修士、科学概念・科学史博士。
セミコロン(semicolon「;」)の誕生から、その誕生によってもたらされた混乱エピソードを紹介します。

<本文引用>------------
1494年、イタリアのベネチアでセミコロンは生まれた。コンマとコロンの中間ほどの休止を示そうとした記号であり、その血筋は、コンマ [,] とコロン [:] が合わさったその形に表れている。セミコロンが生まれたのは、文章の書き方に創意工夫が凝らされた時代、句読点の使い方に規則などなく、読み手の側でも新たな句読点を考案しては捨て去ってというのが普通だった頃のこと。当時の文書には(手書き、印刷を問わず)句読点をあれこれ工夫して試していた跡が残っており、その試行錯誤を行なっていた15世紀の知識人はイタリア人文主義者という名で知られている。人文主義者たちは文章の流麗さに重きを置き、ギリシャ・ローマの古典を研究して文書化し直すことを呼びかけた。それにより暗黒の中世を脱却し「文芸復興」を果たそうとしたのだ。そうした目標のもと、人文主義者は新たな文書を出版するとともに、古典のテクストも字句や句読点を書き改めて新たに出版した。(本文より)
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文章の書き手の工夫によって、後々誕生した句読点なんですね。

英語の句読点をまとめてみました。

記号

強さ・役割

主な機能

使用例

, カンマ

弱い区切り

要素区切り、補足説明、リズム調整

■並列要素の区切り
I bought apples, oranges, and bananas.→ 私はリンゴ、オレンジ、そしてバナナを買いました。

■前置き句の後
After the meeting, we went to lunch.→ 会議の後、私たちは昼食に行きました。

■挿入句の前後
My brother, who lives in Canada, is visiting next week.→ カナダに住む私の兄が来週訪ねてきます。

. ピリオド

強い区切り

文の終止、小数点、略語

■文末
She loves reading books.→ 彼女は本を読むのが大好きです。

■小数点
The answer is 3.14.→ 答えは3.14です。

■略語
I met Mr. Smith yesterday.→ 私は昨日スミスさんに会いました。

: コロン

「次に示す」予告

説明・列挙・引用の前置き

■説明の導入
He had only one hobby: collecting stamps.→ 彼の趣味は一つだけでした。それは切手収集です。

■リストの前
You will need the following items: a pen, paper, and scissors.→ 必要なものは以下の通りです:ペン、紙、ハサミ。

■引用や強調の前
She said: "I will never give up."→ 彼女はこう言いました:「私は絶対にあきらめない」。

; セミコロン

中間の区切り

関連文接続、複雑リストの区切り

■関連のある文を接続
I have a meeting tomorrow; I need to prepare my presentation.→ 明日は会議があります;プレゼンの準備をしなければなりません。

■接続副詞の前
I was tired; however, I finished the work.→ 私は疲れていました;しかし、その仕事を終えました。

■複雑なリストの区切り(各要素にカンマが含まれている場合)
We visited Paris, France; Rome, Italy; and Madrid, Spain.→ 私たちはフランスのパリ、イタリアのローマ、スペインのマドリードを訪れました。


「コロン(:)」の役割は、導入、説明、引用、例示など、後続する内容が前の内容を補足・詳細化することを示すようです。
これに対し、「セミコロン(;)」の役割は、独立した二つの文を繋げ、密接に関連していることを示します。カンマとピリオドの中間的な役割を担います。
「A : B」となっていたらBはAの補足や例示であるが、「A ; B」となっていたらAとBは関連するけど独立した文章ということみたいです。
文章がカンマ(comma「, 」)でつながっている場合と、セミコロン(semicolon「;」)でつながっている場合は意味が変わるようです。

■カンマ(comma「, 」)
I called my parents, John and Mary.
(「私の両親であるジョンとメアリーに電話した。」=両親の名前がジョンとメアリー)

■セミコロン(semicolon「;」)
I called my parents; John and Mary.
(「私の両親に電話した。ジョンとメアリーにも電話した。」=両親とジョン&メアリーは別の人)

たしかに、全然違いますね。


本書では、この「セミコロン(;)」がもたらした混乱を紹介します。

<本文引用>------------
オリジナルの条文(1875年)
That no sale of spirituous or intoxicating liquor shall be made between the hours of 11 at night and 6 in the morning, nor during the Lord's day, except that if the licensee is also licensed as an Innholder he may supply such liquor to guests who have resorted to his house for food and lodging.
夜11時から朝6時までの間において、及び安息日には酒類の販売を認めないが、ただし販売免許保有者が宿泊施設の免許も有する場合、食事ならびに宿泊のために施設を利用する客への酒類提供はその限りでない。

「セミコロン版」の条文(1880年)
That no sale of spirituous or intoxicating liquor shall be made between the hours of 11 at night and 6 in the morning; nor during the Lord's day, except that if the licensee is also licensed as an Innholder he may supply such liquor to guests who have resorted to his house for food and lodging.
夜11時から朝6時までの間においては酒類の販売を認めない ; これは安息日にも及ぶが、ただし販売免許保有者が宿泊施設の免許も有する場合、食事ならびに宿泊のために施設を利用する客への酒類提供はその限りでない。(本文より)
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英語が苦手な私にはよくわかりませんが、よく見ると
「between the hours of 11 at night and 6 in the morning」と「nor during the Lord's day」の間が、カンマ(comma「, 」)とセミコロン(semicolon「;」)で異なっています。

A(カンマ)
[夜間禁止]───┐
                  ├── except(宿泊客ならOK)
[日曜禁止]───┘

B(セミコロン)
[夜間禁止](例外なし)
[日曜禁止]────── except(宿泊客ならOK)

うーん、多くの大人がそうだあるように、「深夜にお酒を飲みたい人」によっては、大違いなんですね。

<本文引用>------------
つまり判事の手による条文は「写しの写し」であり、セミコロンが紛れ込んだのは、判事が参照した写しを作成した詳細不明の人物が原因だったのだ。とはいえアレン判事が条文に一切手を加えなかったというわけではない。「グローブ」紙の指摘によると、転記作業を行った者たちは条文をいじったことを公然と認めている。「担当委員らによる改訂版の序文で明確にこう述べられている……数か所で言い回しを変更しているが、委員側には法を改変する意図はなく、受け取った趣旨を表記したつもりである、と」
転記時に受け取った「趣旨」と現在の「表記」、その乖離をどう解決するかは1900年のマサチューセッツ州最高裁に委ねられた。厄介なことに、判断の根拠として過去の判例を利用しようにも、互いに真っ向から食い違う判決が存在していた。ある判例は、句読点が法の意味に「光を当てる」ものである限りにおいて、条文内の句読点に決定能力を認めている。その一方で、句読点を完全に無視することを支持する判例もあった。過去の裁定で州の最高裁は「句読点には目を向けないで構わない」という判決を下していたのだ。(本文より)
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句読点が多い文章は読みにくいです。
その最たるものは法律の条文化と思います。
ただ、句読点には何らかの意味を、意図をもって組み込まれています。
そう考えると、句読点を含んだ文章、注意して読む必要がありますね。


◆頭の中でシンクロした他の完読作品
『セミコロン かくも控えめであまりにもやっかいな句読点』
『言語の社会心理学 ―伝えたいことは伝わるのか』  
『カルチャロミクス ―― 文化をビッグデータで計測する』

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■読んだきっかけ:名著解説ラジオのXの投稿
■読んで知ったこと:英文の句読点が持つそれぞれの意味。
■今度読みたくなった作品:『カンマの女王 「ニューヨーカー」校正係のここだけの話』メアリ・ノリス
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セミコロン かくも控えめであまりにもやっかいな句読点 - セシリア・ワトソン, 萩澤大輝, 倉林秀男
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