『中央公論2025年7月号』

「情報社会」ではなく、「情動社会」。


20257月、参議院選挙が行われました。

自由民主党と公明党の政権与党は惨敗。

これまで「野党第一党」を掲げている立憲民主党の議席がそれほど伸びず、立憲民主党と同じ旧民主党を源流としている国民民主党は議席数を伸ばしました。

また、議席数を大きく伸ばしたとして注目される政党がありました。

それが、参政党です。


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書名:『中央公論20257月号』

著者:中央公論編集部

出版:中央公論新社(2025.06

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本誌は中央公論新社が発行する月刊総合雑誌。

本号の特集は

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特集:政治を壊す暴力、言論の使命

特集:通巻1700号記念 いま読むべき中央公論の名論文

特集:トランプ政権の深層

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です。



特集「政治を壊す暴力、言論の使命」での佐藤卓己氏(上智大学教授)と河野有理氏(法政大学教授)も対談「歴史を鑑にSNS時代を考える 政治の「野蛮化」に抗する論壇の役割」。


<本文引用>------------

河野  政治学では、政党対立の激しさは暴力の安全弁と考えられてきました。擬似闘争を激しくすることで、 直接的な殺し合いではない形で、物理的な暴力が阻止されるという期待があったのです。

私見では、安倍政権まではその擬似闘争が成立していた気がします。安倍支持と反安倍で言論空間が二分され、そこにすべてのイシューが紐づけられていた。単純さは否めないのですが、政治空間が整序されていました。しかし安倍さん亡き後は保守の側が分裂し、左派も安倍さんという「アンチアイドル」を失ったがゆえに共闘すらままなりません。(本文より)

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アイドルとアンチアイドルの戦い。

確かにそんな印象はあります。


私は重大だった1980年代頃から、「高度情報化社会」というキーワードが目に入るようになりました。

そして現在、「高度情報化社会」は実現したのか?


<本文引用>------------

佐藤  1980年代あたりから「これからは情報社会だ」といわれてきましたが、30年経って形成されたのは「情動」社会、つまり情報の真偽ではなく、それが快か不快かで動く社会になったように思います。言葉を巧みに操れる人が社会の上層を占めた結果、そうではない人たちにフラストレーションが蓄積され、その反発が世界中で噴き上がっています。そうした言論空間の声なき多数派をいかに包摂するかを、社会の安全のためにも真剣に考えなければいけない時代になったと感じています。

河野  啓蒙による包摂には限界がある以上、分極化を前提にした議論のあり方を考えるべきなのでしょうか。

佐藤  すべてを議論で解決しようという対処法は、かえって炎上に燃料を投下することになりかねません。無理やり議論を強要して暴力との接続を招くよりは、あえて静観する賢明さも必要ではないでしょうか。(本文より)

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「情報社会」ではなく、「情動社会」とは、上手く表現してますね。

これが、「ポスト・トゥルース社会」なのかもしれません。

以前読んだ『ポストトゥルース』 が思い出されます。


<本文引用>------------

河野  国民という想像の共同体が崩れた以上、政治対立は先鋭化するしかありません。ただ、現在のアメリカは国民国家になろうとしているのに、対立する者同士が互いに「ムカつく奴ら」として叩き合っている。 国民的な一枚岩とは別種のポピュリズムが浮上しているように思います。

佐藤  今アメリカで起きているのは、政治という抽象的な概念ですらなく、「ムカつく」という生理的な情動レベルの対立ですよね。いかに政治の枠組みに多くの人を包摂できるかが、いま問われているのだと思います。

河野  共和党と民主党の対立はもう動物的というか、情動の対立ですね。

佐藤  ワイマール末期、ドイツのナチ党と共産党が繰り広げた街頭闘争はイデオロギー対立ですらなくなり、共産党支持者が翌週にはナチス突撃隊に加わるのも普通のことでした。まさに情動の対立で、理念の枠組みが外れてしまうと、残るのはむき出しの暴力なのかもしれません。(本文より)

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では、この対談参加者は、政権与党と野党第一党の関係をどう見ているのか?


<本文引用>------------

佐藤  実は私は現状をそんなに悪くないと思っています。たとえば自民党の石破茂首相と立憲民主党の野田佳彦さんの応酬は、対立というほどでもなくスルスルやっている感じですよね。はっきり決断できない状況に批判もあるけれど、トランプの相互関税にしてもウクライナ和平案にしても、日本はそう簡単に旗幟鮮明にしないほうが良さそうで、当面は曖昧でいいかなと感じています。

河野  言うことがコロコロ変わるトランプに対して、ネガティブリテラシーを発揮すべきというのはそうかもしれません(笑)。ただ、強くない与党と、与党を引きずり降ろそうとしない野党の乱立という現状は、55年体制末期の劣化コピーのようで、 複雑な気分になります。今は冷戦終結時に勝るとも劣らない国際環境の激変期だと思うのですが、そんななかで大連立などを試みるでもなく、漫然と55年体制をリピートしているのは寂しい状況ですね。(本文より)

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「55年体制」。

1955年から1993年まで続いた自由民主党(自民党)の長期政権のことを指します。

この体制は、自民党が与党として国会議席の約2/3を占め、野党第一党である日本社会党が残りを占めるという構図でした。

これでは、自民党が憲法改正を目指しながらも、改憲の条件である議席の2/3以上は確保できず、安定した政権を維持しながらも改憲は実現できませんでしたが、その他の政策が実現することができました。

一方、日本社会党は政権を狙わない「万年野党」として、憲法改正阻止を実現できましたが、その他の政策を実現することはできませんでした。


では、国を変えて、アメリカはどういう状況か?


特集「トランプ政権の深層」に待鳥聡史氏(京都大学教授)が寄稿する「理念、利益、制度で読み解く「朝令暮改」 トランプ大統領は本当に「強い」のか」。


<本文引用>------------

しかし、朝令暮改ともいえるようた政策の不安定性は、トランプにとっては大きな問題ではないように思われる。

移民の強制送還にせよ、DEI政策の撤廃にせよ、高関税政策にせよ、大統領選挙期間中に彼が唱えてきた公約であった。トランプの支持基盤はそれ自体が多様な集団を含んでいるが、MAGA派に共鳴する労働者層であれ、リバタリアン的な超富裕層であれ、政府や既成政治秩序に対する強い不信を持つ点は共通する。

これらの政治不信層にとっては、比べれば、実行しようとして挫折する政府の方が望ましい。トランプは何よりもまずポピュリストであり、いわゆる岩盤支持層の「強さ」への期待に忠実である。その立場からは、大胆な政策転換への着手が、政権と支持層の利益になる。よほど大きなマイナスでない限り、結果は問題にされないことも分かっている。

歴代の共和党政権に加わってきた重鎮がほとんどいない第二期政権では、政策の一貫性や整合性の観点からそれを抑止しようとする人物が内部に乏しいことが、この傾向を助長する。

政党間対立の尖鋭化、すなわち分極化も、短期志向の強硬姿勢を促す方向で作用する。内政では、民主党やリベラル派が推進してきた政策を強く全否定することが、共和党支持者の多くに高く評価されるのが現状である。とりわけMAGA派のいう「アメリカ」には、人種関係を含め伝統的価値観を否定するリベラル派は存在しないようにすら見える。外交におけるアメリカへの国際的評価の中長期にわたる低下も、ほとんど視野には入らない。(本文より)

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岩盤支持層の「強さ」への期待に忠実。

MAGA派とトランプ大統領の関係、引き続き注目していく必要がありそうですね。



◆頭の中でシンクロした他の完読作品

『中央公論20257月号』


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■読んだきっかけ:『中央公論20256月号』中央公論編集部 

■読んで知ったこと:「情報社会」ではなく、「情動社会」。

■今度読みたくなった作品:『中央公論20258月号』 中央公論編集部

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中央公論2025年7月号 [雑誌] - 中央公論編集部
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