『Voice 2025年3月号』

仕事と学びの切り離せない関係。


「やりがい搾取」。

会社が本来支払うべき賃金や手当、料金の代わりに、労働者に「やりがい」を強く意識させることでサービス残業や無賃労働を勧奨し、本来支払うべき賃金や料金の支払いを免れる行為をいうようです。

こうしたキーワードが広まるにつれ、なんか「やりがい」という言葉自体に否定的なイメージが出てしまっているような気がします。

個人的には「やりがい搾取」と「やりがい」は明確に分けてほしいと思っています。


――――――――――――

書名:『Voice 20253月号』

著者:Voice編集部

出版:PHP研究所(2025.02

――――――――――――


本誌はPHP研究所が発行する月刊の総合論壇誌。

本号の特集は

――――――――――

特集:官僚の正体

特集:国家混乱の行方

――――――――――

です。


一時期よりは静かになったい印象がありますが、「官僚」というと何かと批判の対象になります。

大学時代、そもそも、その難しさ故、はなからエントリーすらしていなかった私。

私の出身大学(中央大学)でも「官僚」になっている人もいることはいます。

でも、私の大学時代では、私のようなテキトー大学生のグループには「官僚」になる人はおらず、いたとしても、メチャメチャ頭のいいゼミのメチャメチャ頭のいい人だったりします。(もちろん非知り合い)


そんな私ですから「官僚」は憧れの存在。

そりゃあ、変な人もいるんでしょうが、ひたすら批判するような対象ではないです。

でも、周囲には、とにかく「官僚」を批判する人がいまずが、私の周囲にいるそんな人を見ると、野球選手に慣れない野球好きの人が

「あの監督の采配はありえねえよ!」

「あそこでバント失敗するか~?!」

とあんまり変わらないように思えます。




「特集1:官僚の正体」に掲載されている神田眞人氏(前財務官/アジア開発銀行次期総裁)へのインタビュー「若き官僚たちに告ぐ「希望の言葉」」。


官僚の仕事の魅力を語ります。


<本文引用>------------

神田  役所の仕事がルーティンワークだけで済む時代は終わりました。民間企業でも同じですが、公平性を重 ・視し画一的処理が求められがちな公務において、これは大きな変化といえます。現代社会はあらゆる面で変化しており、つねに柔軟で創造的なアプローチが必要とされています。私が霞が関や財務省の職員によく伝える言葉が「Make a difference」(違いを生み出す)。たとえ一つの小さな小さなことでも周囲に変化を生じさせ、物事をよい方向に動かそうという意味です。霞が関には、よりよい未来を創造するため従来とは異なる「difference」をもたらす行動、大事な価値を守るために変革を起こす人間が求められています。

新しい挑戦を楽しみ、面白い人生を送りたいと考える人にとって、官僚という仕事はつまらないとは真逆の、極めて魅力的な選択肢であるというのが、私の持論です。(本文より)

------------------------


「官僚」になるためには難関である国家公務員総合職試験に合格しなければなりません。

しかし、この申込者数は、ここ10年で6割近く減少しているそうですね。

神田氏は志望しない理由を指摘します。


<本文引用>------------

神田  人事院が二〇二二年に実施した調査(「本年度就職活動を終えた学生を対象とする意識調査」)では、国家公務員を志望しなかった理由として「採用試験の勉強や準備が大変」が最上位、次いで「業務内容をこなすのが大変そう」が挙げられています。つまるところ「仕事と勉強が負担だ」ということでしょう。

これは非常に残念なことで、私が学生の皆さんに伝えたいのは、民間企業であれ公務員であれ、「価値のある仕事には必ず学びが伴う」「楽しいことには努力が必要」 ということ。仕事と学びが切り離せない関係にあるという点は、普遍の事実だと私は考えています。(本文より)

------------------------


最近、「やりがい搾取」なんて言葉が目立つようになりました。

昨今問題になっている「ブラック労働」に端を発し、「やりがい搾取」とは、労働者の「やりがい」や「自己肯定感」を理由に、適切な報酬を支払わず、長時間労働を強要する行為を指します。

そんな状況を受けてか、企業が採用募集などで、「「やりがい」を強調している企業」=「ブラック企業」なんて雰囲気もあります。

私は、仕事には一定、「やりがいは必要」というスタンスのため、なかなか、発言に気を付けるようにしています。


<本文引用>------------

とくに世の中が変化し、何が正解かわからない現代社会では、知識だけでなく論理的な思考力、社会への関心、表記力といった総合的な能力が求められます。厳しい競争社会で生き残り、自他共に幸せを実現するためには、やはりいっそうの勉強が必要なのです。

答えのない時代において、古今東西から謙虚に学ぶ姿勢を持たない人は、傲慢か真の天才のどちらかでしょう。でも歴史が示すように、真の天才もまた「努力を惜しまない人」なのです。楽で勉強も不要な仕事は世の中に少なく、あったとしても、やりがいに乏しい。学びのない仕事は相応につまらないのです。

また機械的な仕事は今後、AIの進展でますます減少するでしょう。人間ならではの付加価値、あなたにしか残せない足跡を残す仕事こそがやりがい、生きる意味となります。 日本の未来を担う学生の皆さんには「勉強や仕事が大変」という発想を転換して、「よりよい人生を築くために成長したい」という前向きな思考で、自他の幸福を追求してほしいと思います。広い視野で人生を見つめれば、国家公務員への道も自然と選択肢の一つとなるはずです。(本文より)

------------------------


「やりがいが無い会社、やりがいが感じられない会社で働きたいですか?」と聞かれたら、私はもちろん「No!」です。


「官僚」が大変になる要因として国会議員対応が挙げられます。


「特集1:官僚の正体」に待鳥聡史氏(京都大学大学院法学研究科教授)が寄稿する「霞が関の新生は政官関係の再構築から」。


<本文引用>------------

また、政治家が官僚に威圧的な態度をとる別の一因は、与野党関係が固定化し、官僚が与党議員にとっては下僕、野党議員にとってはサンドバッグになってしまってしまっていることにある。政権交代によって与野党の入れ替わりが起こる可能性を音識することで、官僚を手駒のように扱ったり、非論理的な慣感をぶつけたりする相手ではなく、適切な距離を保ちつつ使いこなすべき優れたブレインであるという態度が導かれやすくなる。(本文より)

------------------------


「下僕」であり「サンドバック」って・・・。



アメリカでの第二次トランプ政権誕生、ウクライナ・ロシアに関するニュースで「停戦」というキーワードの登場回数が増えました。


ダヴィド・トゥルトリ氏(ヴァンデ・カトリック大学上級講師)が寄稿する「ロシアへの経済制裁はなぜ失敗したか」。

ヴァンデ・カトリック大学とはフランスの私立大学です。


<本文引用>------------

支出される軍事費は主に防衛産業への発注と、ウクライナに展開する部隊への拠出という二つに集中投下されている。ウクライナで戦闘中の六〇万人ほどの兵士(その半数が動員兵)を補充するため、ロシア当局は非常に厚遇の金銭供与(給与、ボーナス、社会的給付)を取り決めた。ロシア軍は主として恵まれない階層からの兵士から構成されているため、平時は半ば自給自足で暮らしている階層や地域に現金が流入することで、家計消費と住宅建設が増加している。完全雇用を背景に、二〇三年の実質所得は四・八%増加、貧困率もソ連崩壊以来の最低水準にまで達している。家計消費も旺盛で、たとえば自動車販売は二〇二四年に戦争前の水準を回復した(*1)。(本文より)

------------------------


戦争経済で潤う経済構造になっているんですね。

潤いが凄すぎるとインフレになります。

ロシアではどうなっているのか?


<本文引用>------------

このため賃金が急騰し、インフレを加速させることになった。こうした事態は主に大規模な財政刺激策によるものだが、制裁を受けての輸人品価格の高騰に伴う物流問題も絡んでいる。インフレはロシア経済の最大の泣き所で、二〇二三年半ばからロシア中銀は度重なる金利引き上げに追われた。政策金利二一%に対し年間インフレ率は約八%であるため、実質金利は高止まりし、政府融資を受けられない多くの経済部門に悪影響を及ぼしている。

実際、公共調達が大きな比重を占め、かつ実質金利が高いため、大手企業や金融グルーブが有利となる一方、中小企業の公共契約受注や低利率の銀行融資を受けることは非常に難しくなっている。こうした状況は、過去から続く中小企業の減少傾向と、多くの部門で観察される市場独占のリスクを助長するものでしかない。だがロシア当局は、こうした状況をアジア型の経済発展モデルに転じる好機と捉えている。エコノミストで新しい国防相に任命されたアンドレイ・ベロウソフ氏は、韓国モデルを参考としたロシア経済の「財閥化」に言及している。 彼によれば、強固かつ多様な産業・金融コングロマリットの発展によって、国にとって必要な技術上の近代化が促進されるという。(本文より)

------------------------


政策金利21%でお金を借りるってすごい状況でね。

「戦争経済で潤っているならそれでいいじゃないか」という声が聞こえてきそうですが、その問題点も指摘しています。


<本文引用>------------

最後に、軍産複合体への依存が高まっているが、その肥大化こそがソ連崩壊の一因とされたことを忘れてはならない。現在の成長モデルが持続可能なのか、またそれが経済や社会にもたらす歪みについての懸念は、完全には払拭できない。戦争が長引けば「経済の軍事化」が本格化するおそれがあり、逆に戦争が終結すれば、新たな成長モデルへといかに転換するのかが問題として浮上する。(本文より)

------------------------


「停戦」になったらなったで、ロシア国内で高めるだけ高まった兵器生産能力の供給力がどこに向かうか?

北朝鮮も兵器の生産力を上げていると聞きますので、心配になってきます。


◆頭の中でシンクロした他の完読作品

『Voice 20253月号』 


――――――――――――

■読んだきっかけ:『Voice 20252月号』Voice編集部

■読んで知ったこと:仕事と学びの切り離せない関係。

■今度読みたくなった作品:『Voice 20254月号』Voice編集部

――――――――――――


1080_Voice 2025年3月号.png


Voice 2025年3月号 - Voice編集部
Voice 2025年3月号 - Voice編集部









この記事へのコメント