『訂正可能性の哲学』

「誤配」が生み出す「つなぎかえ」。


「前には違うこと言ってただろう!」

相手の言説を封じ込めるのによく使われます。

「ひたすらハンドルを動かさずに調整はブレーキとアクセルだけのドライバーがいたらどう思いますか?」

これは経済政策に関して、明治大学の飯田泰之教授がネット番組「ニッポンジャーナル」の2025217日の回で語ってくれたコメントです。

上手いコメントです。

仕事で上司が思いつきで「これはいい!」「これはダメ!」を連発されると

「あなた、先週、違うこと言ってたじゃないですか・・・」

と心の中でつぶやいてしまいます。

私、まだまだ寛容性が足りないですね・・・。


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書名:『訂正可能性の哲学』

著者:東浩紀(著)

出版:ゲンロン(2023.09)

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著者は批評家・作家で、株式会社ゲンロン創業者。

著者が提唱する「誤配」の概念を使い、よりより言論空間について提言します。


著者の「誤配」という概念。

このいかにもネガティブなキーワードを著者は肯定的に捉えます。


<本文引用>------------

もうひとつ「観光客の哲学』を補足する論点を加えておきたい。同書にはところどころで「誤配」という言葉が登場する。

誤配はぼくがむかしから好んで使っている言葉である。メッセージが届くべきひとに届かないこと、逆に届くべきでないひとに届いてしまうこと、届いたとしても想定外のタイミングで届いてしまうことなどを意味する。そのようなコミュニケーションの「失敗」は、じつは公共性や創造性の源泉にもなりうるものであり、政治やビジネスから完全に排除してはならない。(本文より)

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以前、私が勤務していた職場では、リモートワークとともに、フリーアドレスが導入されました。

もちろん、フリーアドレスが導入されても、「うちの部署は固定席でいくぞ!」という部署があったり、朝一番に出社して何が何でもお気に入り席の確保に努める人もいました。


それでもフリーアドレスになることで、思わぬ人とのやり取りが生まれ、それによって、面白いアイデアにつながったことはあります。

また、アイデアに至らなくても、「お互いの名前と顔としぐさ」を知り合えることができるのは、案外楽しいです。

これも「誤配」なのかもしれませんね。


著者は「誤配」を「つなぎかえ」とも表現します。


<本文引用>------------

そして、この誤配=つなぎかえは、前章まで考察してきた訂正可能性の概念とも深く関係している。加算の共同体に懐疑論者がやってきて、規則がクワス算に変わる。あるいはソクラテスを名指す共同体に新事実の発見者がやってきて、指示対象が女性に変わる。そこで起きているのは、まさに、それまで共同体内で伝承されてきた規則や意味の「つなぎかえ」だからである。共同体は、それまでプレイヤーのあいだで共有されていた意味や規則のネットワークが、ランダムな誤配=つなぎかえによって半ば強制的に「訂正」されることで持続性を獲得するのである。

だとすれば、誤配=つなぎかえが閉鎖的かつ開放的な人間関係を可能にするというグラフ理論の数学的な発見は、じつは、訂正可能性が家族的な共同体を可能にするという本論で紹介している言語哲学の発見と、本質的に同じことをいっているのかもしれない。(本文より)

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「誤配」が起きることで、人間関係や考え方(頭の中のシナプスでしょうか)に「つなぎかえ」が起き、結果、これまでの人間関係や考え方を「訂正」していくことにつながるんですね。


「訂正可能性がある空間」って、「アップデートできる空間」とも言えますね。


そう考えると「訂正可能性がない空間」って、「アップデートできない空間」ということになりますので、その空間が人間関係なのか、会社なのかは別として、なんか距離を置くか、さっさとに離れたほうがよさそうですね。



◆頭の中でシンクロした他の完読作品

『訂正可能性の哲学』 

『ゲンロン戦記-「知の観客」をつくる』 

『読む力 最新スキル大全』

『この国を蝕む「神話」解体 市民目線・テクノロジー否定・テロリストの物語化・反権力』


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■読んだきっかけ:『ゲンロン戦記-「知の観客」をつくる』 東浩紀

■読んで知ったこと:「誤配」が生み出す「つなぎかえ」。

■今度読みたくなった作品:『東浩紀巻頭言集Ⅰ 思想地図β篇』東浩紀

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訂正可能性の哲学 - 東浩紀
訂正可能性の哲学 - 東浩紀




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