「利回り」はすべての投資にあてはめられる尺度。
2024年冬。
メガバンクはそれほど目立った動きをしていないようですが、多くの銀行はボーナスキャンペーンと称して、預金獲得に動きます。
私はそんな地方銀行の金利をチェックし、少ないながらも、預金の預入先を選んでいます。
ただ、この冬、今までと違う動きがありました。
それが「金利」。
ボーナスキャンペーンは夏と冬に行われますが、ここ何年かは、夏、冬、また夏と続くたびに「金利」は低下。
ところが、この冬は「金利」が上がっていました。
金利上昇の局面に入ったんでしょうかね。
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書名:『全訂版 なぜ金利が上がると債券は下がるのか?
著者:角川総一(著)
出版:ビジネス教育出版社(2024.04)
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著者は金融関連の多数の著書を持つ著述家。
金利と債券の価格の関係をわかりやすく解説します。
本作、
2009.10.20 新版第1版発行
2021.07.15 増補改訂版第1版発行
2023.06.25 増補改訂版第5版発行
2024.04.20 全訂版第1版発行
という感じで版を重ねています。
すごいですね。
金利の変化、特に「1%の変化」を身近な例を使って解説します。
<本文引用>------------
わが国の家計が保有している金融資産は2,000兆円、うち預貯金はおおむね1,000兆円です。現在の預金金利は0.001%。ということ は税引き前での年間受け取り利子は100億円に過ぎません。ではこの金利が1%だけ上がったらどうなるか。それだけで家計が受け取 る利子は10兆円増えるのです。これは実に消費税4%(年あたり)に相当する金額です。
あるいは500万円の預貯金を保有していたある家庭にとり、預金金利が“ほんの”1%だけ上がっただけで、年間受け取り利子額は 税引き後で4万円増えます。月平均では3,300円。これは一般的な 家庭の電気料金の半分近い金額です。
一方、期間25年の住宅ローンを2,500万円借りる際、金利が2% から3%に上がれば、毎月の返済金額は10万5,963円から11万8,552 円に上がり、完済時までの支払い元利合計金額は3.179万円から3,557万円へと増加するのです。「たかだか1%」ではないのです。(本文より)
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私は元銀行員なので金利にはなかなかシビアです。
ですから、金利と資金繰りに無頓着な経営者を見ると「ちょっとなあ・・・」と不安になったものです。
債券投資を含め、「投資」の評価は「利回り」で決めると言われています。
同じ「利」がつく「金利」とは何が違うのか?
冒頭で紹介したように同じ期間で同じ金額の預金を比較するなら「金利」があれば十分です。
でも、実際の世の中には「金利」がない投資対象も存在します。
<本文引用>------------
金利とか利回りというと、預貯金、債券に固有の収益尺度だというのが多くの人のイメージではないでしょうか? しかし、資産運用をより総合的に考えるためには、金利、利回りの考え方をもう少し広い視野で把握しておく必要があります。
資産運用では、お金を寝かして(預けて)おけばどの程度の収益が得られるか、というのがポイントです。これは株式であろうと投 資信託であろうと、FX、あるいは不動産投資でも同じことです。では、その投資がどれだけうまくいったのかは、どんな尺度で測ればいいのでしょうか。これは金利とか利回りで測る以外にはないのです。
100万円で投資信託を買って3年後に110万円で売れた。その間に 3回、計1万2,000円の収益分配金をもらった。
一方、賃貸用アパートの不動産投資で5年目に買値で売却、元本を回収したほか、元本の15%に当たる収益が得られた。
さてどちらが効率よく運用できたか?
これを知るためには「1年あたりでは元本の何%の収益が稼げたか」がもっとも適切な尺度であるはずです。
投資信託では10万円の値上がり益と1万2,000円の分配金が得られたのですから、計11万2,000円。3年間で11万2,000円ですから1年あたりでは3万7,300円。これは元本100万円に対して3.73%です。
一方、不動産投資は5年間で元本の15%を稼いだのですから、1年では3%。つまり、投資信託に軍配が上がったというわけです。少なくとも投資効率という視点からみれば、投資信託の方に分があったのです。(本文より)
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金利がない「投資信託」と「不動産投資」。
こうすれば比較できるんですね。
<本文引用>------------
■あらゆる資産運用を比較する共通の尺度、それが年利回りだ
一定期間あたり元本に対して何%の収益を生んだか。これが利回りです。そして一番よく使われるのが「1年あたり」です。これを 年利回り(年利(と呼びます。特に記されていない時には「利回り」=「年利」だと考えて間違いありません。
これがわかると、投資信託でも預貯金でも、金への投資でも、どんな資産運用でも「1年あたり元本に対してどれだけ儲かったか」 を示す「年利回り」という共通の土俵上で比較するのが一番便利ですね。
株式投資などでは値上がり益だけを問題にしがちですが、これは正しくありません。少なくとも「投資に伴う収益を得るのにどれだ けの期間を要したか」を考えに入れる必要があります。
以上でわかる通り、資産運用で利回りを計算する時に必要な要素 は①値上がり益と②期中の配当・分配金、利子という2つあることがわかります。このうち①はキャピタルゲイン(値下がりした場合はキャピタルロス)。、②はインカムゲインと呼ばれます。
金融商品には、①キャピタルゲイン・ロスだけのもの(金投資)、②キャピタルゲイン・ロスとインカムゲインの両方を併せ持つもの(多くの投資信託、株式・債券投資、外貨預金等)、③インカムゲインだけのもの(預貯金)に分けることができます。(本文より)
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金利が上がるということは債券価格が下がるということ。
金利が下がるということは債券価格が上がるということ。
こんな例を使って解説します。
<本文引用>------------
以上の説明はもっとも正統的な方法です。しかし、人間の頭の構造は実に様々。
同じことを理解するに際しても、できれば2つ以上の方法を手にしていたほうがいいと思います。
ここでは会話を通していくつかの方法で説明してみます。
■その1――。割引債の場合(利子の支払いはなし)
私「券面に100円と書いてある債券があるとするね。満期は今からちょうど1年先だよ」
読者(あなた)「ということは、これを持ってれば1年後の満期の時に100円で払い戻してもらえるんだよね」
私「まったくその通り。で、これを買いに証券会社に行ったら80円だったとしよう」
あなた「ああ」
私「でね。その時持ち合わせがなくて午後再びその証券会社を訪ねたら、90円だって言われた」
あなた 「値段が上がっていたんだね」
私「そう。じゃあ午前中のこの債券の利回りと午後の利回りとどちらが高い?」
あなた「そりゃ、午後のほうが低いよね」
私「そう。なぜ?」
あなた 「当たり前じゃない。80円で買って1年後に100円で払い戻してもらうより、90円で買って100円で払い戻してもらうほうが収益は低いよね」
私「つまり、値段が上がれば利回りは下がるってことだよね」
■その2――。利付債で説明する(毎年2%の利子あり)
あなた「では、途中で利子が受け取れる債券の場合はどう?」
私「うん。今度は満期までが2年で毎年券面金額(100円)の2%分の利子がもらえる債券を想定してみるね」
あなた「うん」
私「で、この債券が80円の時と90円の時を比べてみよう」
あなた 「はい」
私「前に言ったように80円で買って100円で払い戻しを受けるほうが有利だよね。つまり利回りが高い」
あなた「そう。でもこの場合それに加えて途中で利子を受け取るよね」
私「その通りだね。で、80円で買った時には1年後に2円の利子がもらえるよね」
あなた 「そうだね」
私「一方、90円で買った時も1年後に2円の利子がもらえるね」
あなた 「当然だね」
私「だったら、同じ2円の利子をもらうのに80円で買った時のほうが有利なはずだよね」
あなた「そうか。つまり、どっからみても80円で買ったほうが有利、すなわち利回りが高いってことだね」
(本文より)
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債券がややこしいのは、クーポンと呼ばれる「金利」と、債券を購入するために必要な「価格」があるということ。
これが比較をややこしくします。
著者はこんな例を使って解説します。
<本文引用>------------
トヨタ自動車が発行する3年のA債券、価格は98円。東京電力が発行する同じく3年のB債券の価格は92円。2つの債券(いずれも 額面は100万円)があるとしましょう。
これを持っていれば、どちらも3年後に元本100万円を返してくれる。これは債券の基本ですね。
さて、Aは毎年3万円の利子がもらえる。Bは1万円しかもらえないとします。一方、Aは98万円出さなければ買えないが、Bは92万円で買える。さて、どちらが有利でしょうか?
トヨタ自動車債A | 東京電力債B | |
クーポン | 3% | 1% |
価格 | 98円 | 92円 |
どっちが得なの? それを知るためにはどうすればいい?
価格とクーポンをばらばらに見ただけでは判断できません。当たり前です。
債券を買う、あるいはお金を相手に託すことの見返りに期待するのは「いくらで買えるか」ではなく「それを買って満期まで持った ら、年あたりどの程度の利回りが期待できるか」なのですね。
これは、以下のように計算して初めて、その投資価値を比較できます。すでにお話した利回りを求める式ですね。
A | 3 + (100 - 98) ÷ 3 ――――――――――― × 100 = 3.741(%) 98 |
B | 1 + (100 - 92) ÷ 3 ――――――――――― × 100 = 3.985(%) ⇒ トク!! 92 |
つまり、どちらを買うべきかを判断するには、価格ではなく、利回りで示されて初めて可能になるのです。(本文より)
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金利は「決まるもの」なのか、それとも「決めるもの」なのか?
<本文引用>------------
「金利」といえば「預金金利」や「住宅ローン金利」を最初に悪い浮かべる人が多いですね。たしかにこれらの金利は、お金の貸し 手が決めます。交渉事で決まるものではありません。しかし、「金利の世界」の中で圧倒的な存在感を持つ債券利回りは、実は「決まるもの」であって、「決めるもの」ではないと理解するのが適切なのです。
たしかに、新しく国債が発行される時は、発行者である財務省が金利・利回りを決める権限を持っているように見えます。でも実は 違うのです。
たとえば、2023年12月に発行された10年国債の利回りは年0.8%です。しかしこれは、財務省が勝手に決めたわけではないのです。結論から言うと、その時点の市場で取引されている国債の利回りに合わせて“決まった”のです。市場で取引されている国債の利回りは間違いなく「だれかが決めた金利」ではなく「自然に決まった金利」であることは言うまでもありません。これは株式の取引と同じイメージです。
直前の11月に発行した期間が同じ10年国債が市場で売買されて1%の利回りが付いていたら(これは決まる金利)、新しく発行す る10年国債も、ほぼその利回りに右ならえ!するしかないのです。
もし、これより低い0.8%とか0.5%の利回りに財務省が決めたら、こんな低い利回りでは買い手(引き受け手)は付かないのは当然です。かといって、コストを最小限にしたい国(財務省)はこの利回りを上回る2%とか3%の利回りに設定するわけはありません。
このあたりは、株式と同じ仕組みです。取引所で売買された結果付いた株価が1,200円だと、この時、増資(新しく株を発行して資 金を増やす)するんだったら原則として1株1,200円に近い値段で発行することになります。1,500円だと誰も買いません。かといっ て500円で売り出すわけもありません。つまり、市場で自由に売り買いされた結果付いた利回りを基準にして、新しく発行する債券の利回りを決めざるを得ないのです。
つまり財務省が決めているように見えても、実はその時点で自由に売り買いされている期間がほぼ同じ国債の利回りとほとんど同じ 利回りに決まる、ということです。新しく発行する国債の利回りは、財務省の自由にはならないのです。具体的に言うと、すでに p.112~113で説明したとおり、証券会社や銀行などが「○.○○%な ら引き受けてもいい」という価格・利回りを提示したうえで、入札方式で決まるのです。そしてその入札利回りは、その時点で市場で取引されている国債の利回り(決まる利回り)に限りなく近くなるというわけです。(本文より)
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国債の金利って「決まるもの」なんですね。
じゃあ、国は市場の動きに任せるままなのか?
<本文引用>------------
政策金利は「決める金利」です。日銀が金融政策を実行するために決めるコール翌日物レートがそれです。2024年1月現在だとマイ ナス0.1%。これも日銀が決めた金利なのですが、あくまで間接的にこの水準に誘導しているにすぎないことはp.197~198で説明した通りです。
「コール=呼びかける」ってことです。ある銀行が「1日だけ300億円貸して」ってコールすれば「は~い。じゃあ私が300億円融通 するわよ」と、よその銀行が応えてくれる、っていうイメージですね。
この金利は、メガバンクのほか地銀や信託銀行、信金等多くの金融機関が、短期のお金の貸し借りを行なう時に成立した金利です。翌日返済する決まりだから翌日物って呼びます。つまり、日銀が 「コール翌日物はマイナス0.1%くらいの水準になるように、いろんな手段でコントロールするね」と呼びかけているといった感じです。(本文より)
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こうしたプロセスで生じるやり取りが「市場との対話」といったところでしょうか。
本作、「債券の仕組み」から「金利と債券価格の関係」を実に平易な文章で丁寧に解説してくれています。
まだまだ版を重ねてもらいたいものです。
◆頭の中でシンクロした他の完読作品
『全訂版 なぜ金利が上がると債券は下がるのか?』
『日本国債入門』
『日本の財政』
『図説日本の財政(令和5年度版)』
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■読んだきっかけ:『日本国債入門』服部孝洋(著)
■読んで知ったこと:「利回り」はすべての投資にあてはめられる尺度。
■今度読みたくなった作品:『改訂版 金利を見れば投資はうまくいく』堀井正孝(著)
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【 全訂版 】なぜ金利が上がると債券は下がるのか? ― 世界でいちばんやさしい債券の本 - - 角川総一






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