『優しい日本人が気づかない 残酷な世界の本音 -移民・難民で苦しむ欧州から、宇露戦争、ハマス奇襲まで-』

ドイツの政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の党名の由来。

経済安全保障。
従来の銃やミサイルといった従来の武器だけではなく、石油、天然ガス、半導体と言った資源エネルギーや製品までもが「武器」となる時代です。
ヨーロッパ最後の独裁国家と言われるベラルーシ。
人権をめぐる問題などでEUから様々な制裁を受ける同国は、そんなEUへの反撃に出ます。
それが「難民」です。
2021年11月、ポーランドは、ベラルーシ国境で移民流入を阻止したニュースが報じられました。
「難民」はイラク、シリア、イエメンから逃れてきた人々。
そんな熱い国から、厳寒の中、ベラルーシに連れてこられた彼ら彼女ら。
彼ら彼女らはベラルーシからポーランド国境に追い立てられます。
これを、ポーランドは鉄条網や警備隊によって追い立てられます。
じゃあ、自分たちを連れてきてくれたベラルーシにも戻ろうとすると、今度はベラルーシ兵によって追い立てられます。
「難民」の武器化。
EUの人権意識の高さを逆手にとったすごい「武器」です。

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書名:『優しい日本人が気づかない 残酷な世界の本音 -移民・難民で苦しむ欧州から、宇露戦争、ハマス奇襲まで-』
著者:川口マーン惠美(著)、福井義高(著)
出版:ワニブックス(2023.12)
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著者は、ドイツを中心としたヨーロッパ事情を紹介する多数の著書を発表しているライプツィヒ在住の著述家(川口マーン惠美氏)、青山学院大学大学院国際マネジメント研究科教授(福井義高氏)。
日本人がよくわかっていないヨーロッパの政治情勢や社会情勢を解説します。

現在のドイツの首相はドイツ社会民主党のオラフ・ショルツ氏(2024.4現在)。
ロシアのウクラウナ侵略と言った衝撃的なニュースで一気に露出が増えました。
しかし、ドイツの首相と言って、パッとイメージが浮かぶのは、アンゲラ・ドロテア・メルケル氏でしょうか。
何しろ、2005年から2021年の16年間にわたって首相を務めていたんですから。

ショルツ首相が所属している政党はドイツ社会民主党(SPD)。
メルケル前首相が所属している政党はドイツキリスト教民主同盟(CDU)。

今、ドイツの政治に関するニュースを見ると頻繁に取り上げられる政党があります。
それが「ドイツのための選択肢(AfD Alternative für Deutschland)」です。

<本文引用>------------
川口:(中略)ただし、当時は、AfD以外の党は皆、メルケルを賞賛し、メディアはドイツの人道的行為に酔いしれたような報道をし ていましたから、AfDにはあっという間に反人道、反民主主義のレッテルが貼られました。また、AfDの党内でも、経済学者とその他の勢力との間で方針に温度差が出て、結局、新興の党にありがちな内部抗争に発展、今ではメンバーが創設時とはごっそり入れ替わっています。
福井:ドイツではメルケル首相の下で、事実上、与党化が進み、メルケル自身の表現を使えば、国民は「選択肢なし」(alternativlos)の状況に置かれていました。そこに、ドイツ人に新たな選択肢を提示する政党、「ドイツのための選択肢」(Alternative für Deutschland)が現れたというわけです。(本文より)
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「ずいぶん変わった政党名だなあ」と思っていましたが、こんな理由があったんですね。

メルケル前首相といえば「難民に対する寛容な姿勢」。
人道的ともとれるこうした政策ですが、現在、その政策の負の面もかなり明らかになっています。

<本文引用>------------
川口:(中略)最近の傾向としては、難民によるナイフを使った殺傷事件が急激に増えており、仲間内の抗争だけでなく、一般市民や小中学生の女の子が殺傷されるという凶悪な事件も、複数起こっている。だから最近では、自治体が新しい難民収容施設を設置しようとすると、近所の住民の間でものすごい抵抗運動が起きます。入居直前に放火された施設さえあったほどでした。
福井:難民というのは本国で迫害されているから逃げて来るのだとすれば、女性や子供が中心となるのが自然です。 ところが、中東やアフリカから来る“自称難民”はほとんどが若い男性です。家族の守り手であるはずの自分たちがいなくても、妻や母そして子供は大丈夫という確信があるからとしか考えられません。こうした状況は難民という概念とは辻褄が合わないように思えます。(本文より)
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そうなんですよね、私も“自称難民”って表現、しっくりきますね。

でも、移民政策って、自国にメリットはあるのか?

<本文引用>------------
福井:私は、故竹内靖雄成蹊大元教授にならって、何事も「感情」ではなく「勘定」の問題としてとらえることが、冷静で建設的議論には不可欠だと思っています。損得勘定でみれば、実は移民推進は、受入国の一般国民にとって損な政策です。得をするのは移民自身と、移民労働者が従事する仕事の賃金が下がることの恩恵を受ける、企業経営者をはじめとする社会のエリート層いわゆる上級国民です。
抽象的で深遠な理想論ではなく、移民の経済効果を具体的に見てみましょう。
出生率の低下で人口が減少するなか、新たな労働力として大量の移民を受け入れれば、GDP(国内総生産)が押し上げられることは間違いありません。ただし、移民労働の成果の大半は移民に賃金として支払われます。したがって、比較すべきは、移民を受け入れなかった場合のGDPと、受け入れた場合のGDPから移民に帰属する分を除いた額です。また、川口さんがおっしゃったように、移民受け入れにより、教育や福祉など財政支出が追加的に必要になることも、考慮する必要があります。
その際、移民大国アメリカを対象とした、移民の経済分析の第一人者である。ハーバード大のジョージ・ボーハス教授の研究が大いに参考になります(『移民の政治経済学』)。二〇一五年のアメリカのデータに基づく推計では、米国労働者の一六%を占める移民のGDPに対する貢献分は一二%にもなります。しかし、移民に帰属する分を除くと、ネット(正味)の貢献分はわずか〇・三%にすぎません。この〇・三%の貢献分というのは、移民受け入れによる税収増を除いたネット(正味)の財政負担分を考慮していません。このコストが少なくとも貢献分の金額にのぼるので、結局、差し引きすると、もとからいる国民全体でみれば、大量移民の経済効果はほぼゼロということになります。
しかし全体としてプラスマイナスゼロでも、グループごとに与える効果を分析すると違う側面が見えてきます。
アメリカでの移民の経済効果を自国労働者と企業に分けてみると、労働者の取り分は三%減少する半面、企業の取り分は三%増加するのです。(本文より)
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経済面を考えると、国内の労働者には、あんまりメリットがなさそうですね。

<本文引用>------------
要するに、今日の労働者は左翼・リベラル主流派に見捨てられたということです。その点、ドイツの「極左」政治家ヴァーゲンクネヒトが、本来の難民とはかけ離れた大量の労働移民受け入れはドイツの労働者賃金低下をもたらすので、自国の恵まれない人を守るのが使命であるはずの左派こそ移民に反対しなければならないというのは、首尾一貫した正論です。
デンマークが移民に対して厳しい政策をとっているのは、国境を塞がないと高福祉国家は維持できないからです。アメリカのように誰でも来ていいが、野垂れ死にすることになっても知りません、と突き放せるなら大量移民受け入れも可能でしょう。しかし、誰にでも一定の生活水準を保障しようという福祉国家と大量移民は両立しません。(本文より)
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日本でも言えますが、「移民」「難民」に寛容な姿勢を前面に出すのって、左派政党なんですね。

<本文引用>------------
福井:それからもう一つ、あたかも自明のごとく語られる主張のまやかしを指摘したいと思います。豊かな社会では、必要ではあっても自国労働者がやりたがらない仕事が増え、移民なしにはやっていけないという主張です。しかし、移民が従事するのは、自国労働者がやらない仕事ではなく、今の賃金ではやりたくない仕事です。
不法移民を一掃したアメリカのある地域で現実に起こったように、移民が来なければ、自国労働者がやりたくなる水準まで賃金は上昇します。また、企業は技術革新で乗り切ろうとする。現に、ブルーカラーの賃金上昇と省力化はともに、我が国が高度成長期に経験したことです。その過程で、相対賃金は大きく変わりました。高度成長前、お金持ちとはいえない中流家庭にも「お手伝いさん」がいました。しかし、エリートと庶民の賃金格差縮小で、今では、「お手伝いさん」はお金持ちにだけ許された贅沢となりました。
現在、人手不足と言われるトラック運転手や介護職員にも、同様のことがいえます。労働集約型サービスは、格差が小さい豊かな社会では贅沢品なのです。それを安価で利用しようというのは虫がよすぎます。利用者が直接支払う料金を上げるか、税金というかたちで国民全体が負担して、サービスを提供する労働者の賃金を働きたくなる水準まで上げるしか、抜本的解決策はないのです。(本文より)
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左派リベラルが世に中の「困っている人たち」を見つけ出す嗅覚はすごいです。


でも、見つけるだけでなく、少しでもいいので、どこかのターゲットの「困っている人たち」の抱えている問題を、しっかり解決してもらいたいものです。


◆頭の中でシンクロした他の完読作品
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『難民問題  -イスラム圏の動揺、EUの苦悩、日本の課題』 
『未承認国家と覇権なき世界』
『移民 難民 ドイツ・ヨーロッパの現実』 
『ドイツの脱原発がよくわかる本 :日本が見習ってはいけない理由』

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■読んだきっかけ:Amazon
■読んで知ったこと:ドイツの政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の党名の由来。
■今度読みたくなった作品:『日本人が知らない最先端の「世界史」』福井義高
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優しい日本人が気づかない残酷な世界の本音 - 移民・難民で苦しむ欧州から、宇露戦争、ハマス奇襲まで - - 川口マーン 惠美, 福井 義高
優しい日本人が気づかない残酷な世界の本音 - 移民・難民で苦しむ欧州から、宇露戦争、ハマス奇襲まで - - 川口マーン 惠美, 福井 義高










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