龍の三段に曲がった姿の意味。
私の職場にある卓上カレンダー。
2023年からカレンダーを自作するようにしています。
好きな写真などを集めてL2サイズの写真用紙に印刷しています。
2024年の干支は「辰年」。
そこで、カレンダーとして「龍(竜、ドラゴン)」を絵で作ってみようと思いました。
実はぜったい使いたい絵画があり、それはパオロ・ウッチェロの『聖ゲオルギウスと竜』。
コロナ禍の2020年、上野の国立西洋美術館で「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」が開催されてました。
パオロ・ウッチェロの『聖ゲオルギウスと竜』の実物、しっかり堪能しました。
絵の美しさはもちろんですが、絵の小ささにも驚きました。
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書名:『龍とドラゴンの文化史: 世界の切手と龍のはなし』
著者:内藤陽介(著)
出版:えにし書房(2023.12)
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著者は豊富な世界史の知識をベースに切手をはじめとする郵便資料から国家や地域のあり方を読み解く「郵便学」を提唱し、研究・著作活動を続ける「郵便学者」。
龍とドラゴンをモチーフにした郵便物をもとに。龍とドラゴンの歴史を紐解きます。
龍と言えば、うねうねと曲がっている姿が有名です。
<本文引用>------------
ここで、あらためて上海信館大龍票のデザインを観察してみよう。
中華世界の伝統的な龍のイメージは、後漢の王符による『九似説』と宋の羅願曾による『三停説』を合わせた“三停九似説”に基づくとされる。
“三停”とは龍の体つきのことで、龍が天上・海中・地下の三界に通じていることを象徴するように、首から腕の付け根、腕の付け根から腰(あるいは下肢の付け根)、腰(あるいは下肢の付け根)から尾までの三つの部分の長さがそれぞれ等しいとされている。(本文より)
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あの三段に曲がった姿には意味があったんですね。
私が好きな絵画、パオロ・ウッチェロの『聖ゲオルギウスと竜』。
本作でもしっかり取り上げられていました。
<本文引用>------------
王は自分の持てる宝石を差し出すことで逃れようとしたが、龍は納得せず、とりあえず八日間の猶予を得た。
そこにゲオルギオスが通りかかった。彼は今までの経緯を聞き、王と娘の力になることを約束して出ていった。
ゲオルギオスは生贄の行列の先頭に立ち、龍に対峙した。 龍は毒の息を吐いてゲオルギオスを殺そうとしたが、口に槍を刺されて倒れた。ゲオルギオスは姫の帯を借り、それを龍の首に付けて犬か馬のように村まで連れて帰った。
村人たちが騒然とする中、ゲオルギオスは宣言する。
「キリスト教徒への改宗を約束すれば、この龍を殺そう」
ゲオルギウスがドラゴンの首を斬り落した後、ドラゴンの遺体は四頭の牛車に乗せて街から運び出された。
こうして、異教の村はキリスト教の教えを受け入れたという。なお、『黄金伝説』では、改宗者の具体的な数として、シレーネの王を含む一万五千人との記述がある。
ドラゴンが死んだ場所には神の祝福を受けた聖母マリアと聖ゲオルギオスの教会が建立され、その祭壇から泉がこんこんと湧き出て、その水はすべての病気を治癒したという。
後にゲオルギオスはキリスト教を嫌う異教徒の王に捕らえられ、鞭打ち・刃のついた車輪での磔、煮えたぎった鉛での釜茹でなどの拷問を受けるが、神の加護によって無事であった。
さらに、王は異教の神殿でゲオルギオスに棄教を迫るが、ゲオルギオスの祈りによって神殿は倒壊する。しかも王妃までもがゲオルギオスの信念に打たれキリスト教に改宗しようとしたため、自尊心を傷つけられ王は怒りに駆られた。
王妃は夫であった王の命令によりゲオルギオスの目の前で見せしめとして惨殺されるが、死の間際「私は洗礼を受けておりません」と訴えた。 ゲオルギオスが王妃の信仰の篤さを祝福し「妹よ、貴方が今すその血が洗礼となるのです」と答えると、天国を約束され王妃は満足げに息を引き取ったと言う。その後、ゲオルギオス本人も斬首され殉教者となった。(本文より)
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殉教。
宗教心を高める格好の題材です。
ということは、国威発揚や戦意高揚に使われます。
<本文引用>------------
第二次世界大戦中、聖ゲオルギウスのイメージはナチス・ドイツとの戦いのシンボルとして用いられることもあった。
たとえば、図34は切手ではなく、“AAGB(American Ambulance, Great Britain. 在英米国救急車協会、とでも訳せようか)”が一九四一年に制作した宣伝ラベルで、郵便料金前納の証紙としては無効だが、封緘シールなどとして郵便物に貼られることも少なくなかった。
ラベルには鍵十字をつけたドラゴン(ナチスの象徴)を打倒する聖ゲオルギウスが描かれており、その背後には、鍵十字の掲げられた柱に括りつけられた王女(ナチスに侵略された欧州諸国の象徴)が描かれている。(本文より)
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でも、旧約聖書にも新約聖書にも聖ゲオルギウスって出てこないんですけど・・・。
そうえいば旧暦や春節。
最近ではすっかり定着してきた感のある言葉です。
<本文引用>------------
最近、“保守”を標榜する一部の人が、インターネット上などで、中国の習慣である春節を日本国内で祝うのはけしからんなどと話すのをしばしば目にするが、もともと、中国大陸に由来する暦法を用いていた地域や、世界各地の華人コミュニティ(が存在する地域)では、現在でも伝統行事は旧暦で行うのが一般的で、むしろ、旧暦の行事を完全に太陽暦の日付に固定してしまった日本が、東アジアではかなり異質な事例であることは自覚しておいた方が良い。(本文より)
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自称保守の「春節けしからん!」という主張。
著者の豊富な見識の前にあっけなく砕け散りました。
◆頭の中でシンクロした他の完読作品
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■読んだきっかけ:著者のX(Twitter)@naito_yosuke
■読んで知ったこと:龍の三段に曲がった姿の意味。
■今度読みたくなった作品:『龍の起源』荒川紘
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