『ポリコレの正体 「多様性尊重」「言葉狩り」の先にあるものは』

性的指向の少数派の中にも存在する差別。

「ジェンダーギャップ指数」というものがあります。
世界経済フォーラムという団体が毎年発表している指標で、男女平等格差指数ともいわれているそうです。
日本は2019年度総合順位が153か国中121位。
かなり低いです。
平成30年(2018)の日本の自殺者数は20,840人。
そのうち、男性の割合は約7割です。

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書名:『ポリコレの正体 「多様性尊重」「言葉狩り」の先にあるものは』
著者:福田ますみ
出版:方丈社(2021.12)
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著者はノンフィクションライター。
ポリコレ(ポリティカルコレクト、ポリティカルコレクネス)が叫ばれる中で起きている問題を指摘します。

「Political Correctness」
「Politically Correct」
「政治的な正しさ」なんて訳されます。

正直、この言葉には違和感も持っています。
それは政治体制には様々な形があり、人によっては、その体制を支持する人もいたり、支持しない人もいたりするわけです。
ですから、普遍的な、絶対的な“政治的な正しさ”って、そもそもあるのかなあ、なんて思ってしまいます。

<本文引用>------------
トランプ前大統領の発言に対するツイートにあるように、多様性やマイノリティ擁護をとことん追求したその先にある“理想の社会”がこれなのだろうか? 私には、小説や映画によくある、未来のディストピア世界の入り口に立っているように思えてならないのだ。「誰もが不当に差別されることのない、公平で平等な社会を作ること」は、近代市民社会における人類共通の理念に違いない。しかし、その公平や平等、多様性を無前提に人々に強要し、結果の平等だけを唯一の善とする極度にフラットな社会が完成するとすれば、それは立派な全体主義となる。
美辞麗句に隠されて密かに進行している事態を、私たちはもっと注視しなければならない。(本文より)
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AというグループとBというグループがあるとして、BがAに「それは差別だ!」とか「政治的に正しくない!」と叫び、Aがそれに応える形で意見を引っ込める。
なんか、常にBがAを糾弾し、Aが意見を引っ込める、そんな一方的な感じがすんですよね。

<本文引用>------------
結局、ポリコレを信奉する左翼勢力が「メリークリスマス」を忌み嫌う本当の理由は、非キリスト教徒への配慮というより、米社会からキリスト教色を排除することが目的なのだ。なぜなら、キリスト教はいまだに、変貌著しい米国社会にあって、なお、その根っこであり続けているからだ。左翼にとってキリスト教は、倒すべき強力な保守勢力なのである・
トランプ前大統領は、就任直後から、米マスメディアや民主党サイドによるすさまじいネガティブキャンペーンの標的になった。
「野蛮で無知、無能」「白人至上主義者(ホワイトスプレマシー)」「女性差別主義者」「セクハラ常習犯」・・・・・・。だがそれは、ポリコレを果敢に打ち破ろうとしたため、まさにこの“ポリコレ棒”を振りかざす左翼に、最も恐れられたためだったのである。(本文より)
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私が「それは差別だ!」とか「政治的に正しくない!」を叫ぶ人に若干違和感を持つのが、言う相手は、なーんか一方的な感じがするからです。

<本文引用>------------
そこで私が目を留めたのが、「森喜朗会長の処遇の検討および再発防止を求めます」と題して、オンライン上で署名活動を行った若い女性たちのグループである。呼びかけ人の一人である慶応大学生がマスメディアの取材に応じるなど注目を浴び、署名も、11日間で15万筆以上の賛同を集めたという。
ちなみに賛同人には、坂本龍一、小島慶子、上野千鶴子、水原希子など有名人の名前がある。
このグループがオンライン上に発表した、署名を募る文書にはこうある。一部を引用する。
「『女性』を一括りにして会議のあり方について述べることは明確な偏見です。また同じような状況に置かれている女性を始めとしたさまざまな立場の方をも萎縮させる可能性があります。これは、『すべての個人はいかなる種類の差別も受けることはない』というオリンピックやパラリンピックの精神にも反しています」(本文より)
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今、この文を書いているのは2022年1月。
間もなく、北京の冬季オリンピックが開かれようとしています。
このオリンピックの開催については、中国がウィグル人に対して行っている行為を問題視し、アメリカをはじめとする自由主義各国は人権侵害非難決議やいわゆる“外交的ボイコット”を実施しています。
でも、ここで書かれた賛同者のみなさんって、中国のオリンピックに対する抗議の声は、ビックリするぐらい声をあげないんですよね。
私には「森氏の発言」よりも、「ウィグル人女性への避妊手術」のほうが遥かに女性の人権を侵害しているように思えるのですが・・・。


LGBT。
L(レズビアン、女性同性愛者)、G(ゲイ、男性同性愛者)、B(バイセクシュアル、両性愛者)、T(トランスジェンダー、生まれた時に割り当てられた性別にとらわれない性別のあり方を持つ人)などのなど性的少数者の総称です。
こうした性的な指向。
個人的には「どうぞ、でも、私には強要しないでね」って感じです。
ところがこうした性的指向にも差別があるようです。

<本文引用>------------
二次元のキャラクター、たとえばアニメや漫画しか性愛の対象と感じない人たちがいる。これは性的指向だから、自分たちも性的マイノリティに加えてほしいという意見が出ている。しかし、LGBTの研究者は頑なに拒絶したそうだ。
一級市民として認知してほしいと願うLGBTから見れば、二次元キャラクターを恋愛対象とする人々は、「単なる趣味、性的階好だから」と、切り捨てられたのである。
「ペドフィリア」、「ズーフィリア」「ネクロフィリア」といった、犯罪スレスレの嗜好の人々もいる。
「ペドフィリア」とは「小児性愛者」、つまり、幼児や小児を対象にした性愛、性的嗜好のことである。
「ズーフィリア」とは、動物に性愛感情を抱くセクシュアリティで、感情だけなら問題はないが、獣姦行為となると国によって罪になることもあり、衛生上も問題になる。
「ネクロフィリア」とは、死体に性的興奮、性愛感情を抱くセクシャリティで、死体性愛者、死姦症ともいわれる。(本文より)
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こちらも個人的には「どうぞ、でも、私には強要しないでね」って感じです。

<本文引用>------------
「抑圧すべき性衝動」とはまさに、こうした性的嗜好を指すのではないかと思われる。おぞましく感じるかもしれないが、いずれも性愛感情に止(とど)めておくかぎり、わが国では問題にはならない。
彼らにも人権があり、繰り返すが、「性的少数者」という大きな括りの中のれっきとした一員なのである。
ツイッター上では、これら 3つの頭文字を取ってPZNと称し、「LGBTばかり権利を主張するのはおかしい。PZNも加えてLGBTPZNとすべきだ」と言う声がある。
これは、「LGBTばかり正義づらしてうざい」「あいつらPZNも加えたら発狂しそう」といったコメントがあるように、数多ある性的少数者の中でLGBTだけを正統扱いし、よりアプノーマルな部分を持つ他の性的少数者を排除する現在の欺瞞的な運動への抗議、揶揄が込められている。つまり、自らの「性的マイノリティ性」は「被抑圧者」「被害者」として認知してもらい、保護も受けようとする傍ら、同じ人間が、もっとマイナーな指向の人に対しては、激しく拒否・断罪する歪んだ構図があるのだ。 (本文より)
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うーん、性的指向の少数派の中にも、上級少数派と下級少数派がいるとでも言うんでしょうか。


本作を読むと、性的指向の少数派が一方的な弱者ではなく、しっかり逞しく生きている実態がわかります。
また、ポリコレが吹き荒れるアメリカでは、逆にポリコレに対峙するような意見が出始めている実態がよくわかります。


◆頭の中でシンクロした他の完読作品

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■読んだきっかけ:Amazon
■読んで知ったこと:性的指向の少数派の中にも存在する差別。
■今度読みたくなった作品:『左翼商売』森口朗
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