『読む力 最新スキル大全』

読んだ情報から自分の中に新しい概念を作りあげることで、はじめて得られる「知肉」。

通勤の際に立ち寄り易い「丸善丸の内本店」。
こんな場所に立ち寄れる通勤経路は、それだけでお宝物です。
そこで今回取り上げる本『読む力 最新スキル大全』を買いました。
すると本棚に「佐々木俊尚さん『現代病「集中できない」を知力に変える 読む力 最新スキル大全』刊行記念 オンラインイベント」の案内があり、さっそくチケットを購入しました。
イベントは東洋経済新報社の編集者が話を振り、佐々木俊尚氏が答えるという形で進行。
後半、イベント参加者からの質問に佐々木氏が答えるコーナーもありました。
「お前は考えがころころ変わる」と言われて悩む人に対する佐々木俊尚氏の回答はこんな感じでした。
「変えちゃいけないのは考え方。考えた内容じゃなくて、考えた結果じゃなくて。」
これ、ぐさーっと心に入りました。
広く情報を集め、絞り込み、そして考えた結果が変わることに躊躇しない。
大切にしたいと思います。
これだけで、チケットのもとが取れた気分になりました。

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書名:『読む力 最新スキル大全』
著者:佐々木俊尚
出版:東洋経済新報社(2022.01)
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著者は元毎日新聞の記者で、ツイッターフォロワー78万人、フェイスブックフォロワー2万人を有し、テクノロジーから政治、経済、社会、ライフスタイルにいたるまで縦横無尽に発信するインターネット論壇における論客。
本作は自身が「読む」を通じて得た情報を、自身の「知肉」に変えるテクニックを紹介しています。

冒頭に書かれている本作執筆の目的です。

<本文引用>------------
たんに「良質な情報」を集めるだけでなく、それをきちんと読み解き、それによってこの「世界」への理解を深め、世界を曇りのない目で見つめる力を、どう養っていけばいいか。
いまこそ「読む力」が決定的に重要な時代になっているといえる。
読むことで「知識」や「視点」を身につけ、最終的にはそれらを自分の「知肉」にしていかなければならない。
本書が、その一助になれば幸いである。(本文より)
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「血肉」ではなく、「知肉」。
うまい表現です。

本をなぜ読むのか?
私は年間120冊ほどの本を読んでいるわかですが、目的は「知らないことを知りたいから」。
正直、「へー、そうなんだ」と思える瞬間が何より嬉しいからです。

著者は「読む」ことの最終目的を読者に提示してくれます。

<本文引用>------------
大前提4 読むことで得た「知識」「視点」を「知肉」にするのが最終目標

「さまざまな知識や視点」を獲得すると、「さまざまな概念」が学べる

大前提4は、最終的な目標は「知肉」を育てるということである。

大前提3で書いたが、「読むこと」から「さまざまな知識や視点」を獲得すれば、そこから物事を立体的に把握し、認識できるようになる。
さらにそこから一歩踏み込もう。集めた「さまざまな情報や視点」から「さまざまな概念」をつかんでいくのだ。
詳しくは第6章でたっぷりと説明するが、ここではさわりだけ紹介しておきたい。(本文より)
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では、なんでも片っ端から読めばいいのか?
著者は情報が持っているバイアスを知ったうえで、その情報と付き合うことを勧めています。

<本文引用>------------
テロが多発し、ロシアが復活し、そして中国が強大になった。ロシアも中国も 「ソフトパワー」は乏しいが、他国に情報戦をしかけまくっている。
トランプが当選した2016年の米大統領選挙では、「ロシアがSNSを駆使してアメリカ国内にプロパガンダを流し、トランプを後押しした」という疑惑がささやかれている。
中国やロシアが日本でどんな「シャープパワー」を駆使しているのかは、まだあまり明らかになっていない。

「スプートニク日本ニュース」のような日本での影響力が大きくないニュースサイトなら笑い話ですむかもしれないが、こうした勢力はひょっとしたらすでにいろいろなところに手を伸ばしているかもしれない。
だから「偏りが強いメディア」に注意するのは、本当に大事なことなのだ。
そういうメディアを「読むな」とまでは断言しないが、読むならば「背景」を知って、厳重な「取り扱い注意」が必要である。(本文より)
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2022年2月からのロシアによるウクライナ侵略。
スプートニク日本ニュースからの情報が、なんとも「???」である理由が分かりますね。

これは日本の新聞にも言えそうですね。
正直、最近は事件が起きるとどの新聞がどんなふうに報じるかが、なんとなくわかってしまうようになりました。
著者は毎日新聞というもと全国紙の記者ですが、敢えて、現在の新聞がどういうものかを指摘します。

<本文引用>------------
たしかに新聞は30ページほどのコンパクトな容量の中に、政治から社会、経済、文化、スポーツにエンタメまであらゆる分野のニュースが詰め込まれていて、広く知見を高められるように見える。
しかし、新聞のプロパガンダに騙されてはいけない。
新聞がフラットで公平なのは「分野」だけである。
ページをめくっていけば、政治面・経済面・社会面・文化面・スポーツ面とあって、それらはたしかにフラットに公平に提供されている。
しかしそれぞれのジャンル単体に目を向けると、いまの新聞はとても公平とは言いがたい。

新聞の部数が激減するにつれて、各紙の政治的立ち位置は、逆に左右に明確になった(本文より)
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部数がみるみる減っていく中、企業は何をするか?
それは、企業を守るためのコスト削減(=リストラですね)と、顧客のつなぎ止めですね。
今の新聞の紙面の偏りは「顧客のつなぎ止め」としては有効なんでしょうね。
でも、そんな内容が日本新聞協会が掲げる「新聞倫理綱領」の「性格と公正」に合致しているかは疑問です。


私は本を手にすると、真っ先に「まえがき」を読みます。
そうすると、著者が何でこの本を書こうと思ったのかが書かれているからです。
で、その次は「目次」。
これで、本のアウトラインを頭に入れてしまいます。
この話をしたら、知人に「それじゃあ、本を読む楽しみが無くなっちゃうじゃん!」なんて言われたことがあります。

でも、私は気にしません。
私が読む本は小説よりも圧倒的にドキュメンタリー的なものが多いです。
読書で「えっ、犯人ってその人だったの!?」のような驚きを求めているわけではないので、このやり方をやったほうが、読み進めやすいし、最初から読むのを控える選別にもなるからです。(お金は大切ですから)


著者は本の読み方を紹介しています。

<本文引用>------------
本と自分との相性やスキルは、どの段階で判断すればいいのだろうか。本のタイトルや要約だけでは判断しづらいこともある。
わたしの経験でも、読んでみて、はじめて「あっ、これは無理だ」とわかることもある。逆にとっつきにくそうなタイトルで敬遠していた本が、読んでみたら案外にスルスルと最後まで読めたということも一度や二度ではない。
そこでわたしが誰にでもおすすめできるのは、まず冒頭の30ページを読んでみることだ。(本文より)
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私が著者を知ったのはニッポン放送のラジオ番組「飯田浩司のOK! Cozy up!」でした。
論客と言われる人には語気を強めたりする人が多い中、終始冷静な語り口調で事実を拾い集め、情報元を明らかにしたうえでの解説に、すぐにファンになってしまいました。

ですから、これを読んで、なんか、嬉しくなりました。

<本文引用>------------
なので、「最初から終わりまできちんと読んで、その世界観を理解する」という作業は必要ない。
実用書を読むときは、「本のあちこちにちりばめられている『知の断片』を吸収する」という姿勢を持ちたい。

まず「まえがき」や「はじめに」「プロローグ」などを読んで、「その本がどんな 『知』を伝えようとしているのか」をつかむ。
それがわかれば、あとは目次を眺め、自分に必要なところだけを拾い読みしていく。(本文より)
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さらに著者はデジタルツールを活用した読書術も紹介します。

<本文引用>------------
全体をざっと斜め読みして、どんなことが書かれているのかを「メモアプリ」に箇条書きに記録しておくこともおすすめだ。
あとになってから、さまざまなノウハウが必要になってくる場面もあるからだ。
「そういえば、このノウハウって、前に読んだ何かの本に書いてあった気がする」といううっすらとした記憶があれば、必要なときに「メモアプリ」を適当なワードで検索して、その本のメモを拾い上げることができる。(本文より)
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以前読んだ新井紀子氏の『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』。(これも東洋経済新報社、やりますね)
本作での「AIは東大には合格しないが、MARCHの合格レベルには達している」には衝撃を受けました。(私はMARCHのうちのC出身・・・)
私はそもそも東大を受験するレベルもないしお金もないしで、東大の問題など見たことがありません。
実際、『経済と“世界の動き"が見えてくる! 東大のクールな地理』で見ると、いわゆる“暗記”では太刀打ちできない問題のオンパレードに驚きました。

人間にできてコンピュータにできないものは何か?
著者はコンピュータの限界を指摘しています。

<本文引用>------------
コンピューターは記憶力は抜群だが、「物語」を編み、体系にするような思考能力はない。そういう能力は人間の頭にしかない。
人間の頭は「概念」をつくるのは得意だが、記憶力は弱い。だったら、人間の頭とコンピューターの2つが協力して、苦手なところを補い合えばいいのである。(本文より)
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それぞれの強みと弱みを理解し、強みが最大限生かせるように活用する。
なんか、組織の人員配置にも言えそうですね。

よく、「本は髪と電子とどっちがいい?」とか「本は書店で買うべきかネットで買うべきか?」なんて、議論がありますが、そもそも、自分が本を読む目的に照らし合わせればいいだけなんですよね。

私が書いているこのブログは、自分の頭では正確に記憶できない「読んだ本の情報」を「いつでも」「正確に」取り出せるメモリーのように使っています。

一方で、このブログを読んでくれた人が
「へー、この本って、こんなこと書いてあるんだ! この本読んでみたい!」
そんな風に思ってもらえることを密かに期待しています。


正直、読書好きの私には、書いて紹介したい内容がありすぎる一冊。

周囲の人から「なんか面白い本あったら教えてくれない?」と聞かれることがあります。
以前は「これなんかどう?」と自分の本を結構気軽に貸していました。
しかし、それらの本が殆ど返ってくることがないことに気が付きました。
そもそも、なんとなく読書したいけど具体的に何を読めばわからないような人。
私が貸した「本」に対する価値観など、到底期待する事も出来ず、相手にとっても「なんか借りていたような・・・」程度なんでしょう。
それ以来、「なんか面白い本あったら教えてくれない?」と、近くの大きな本屋を紹介して、「店内グルッと見回してみたら?」って答えるようにしていました。
でも、この本を読んでからは、「本屋さんに行って、『読む力 最新スキル大全』を買ってみたら?」と答えようと思いました。

◆頭の中でシンクロした他の完読作品

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■読んだきっかけ:書店店頭
■読んで知ったこと:読んだ情報から自分の中に新しい概念を作りあげることで得られる「知肉」。
■今度読みたくなった作品:『時間とテクノロジー』佐々木俊尚
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