正三角形は二等辺三角形の一つ、正方形は長方形の一つ。
現在、放送大学で教育心理学を勉強しています。
心理学の中で「教育心理学」という分野があります。
そこでは、学校教育などの教育の現場で、生徒たちが学習への意欲を持ち続けてもらうため、また、落ちこぼれを出さないための工夫を研究しています。
――――――――――――
書名:『AIに負けない子どもを育てる』
著者:新井紀子
出版:東洋経済新報社(2019.09)
――――――――――――
書名:『AIに負けない子どもを育てる』
著者:新井紀子
出版:東洋経済新報社(2019.09)
――――――――――――
著者は数学者。
ベストセラーになった『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』で提唱した「基礎的読解力」の重要性と危機、そして、「基礎的読解力」を図るためのテスト「RST(リーディングスキルテスト」の紹介します。
ベストセラーになった『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』で提唱した「基礎的読解力」の重要性と危機、そして、「基礎的読解力」を図るためのテスト「RST(リーディングスキルテスト」の紹介します。
本作では、RSTの内容をさらに詳しく解説しています。
<本文引用>------------
そこで、本書では、RSTの最新の研究成果をお伝えするとともに、RSTを体験していただくコーナーも設けました。ぜひ、挑戦してみてください。 「事実について淡々と書かれた短文」を正確に読むことは、実はそう簡単なことではなく、それが読めるかどうかで人生が大きく左右されることを実感することでしょう。基礎的、汎用的読解力を身につけて中学校、そして高校を卒業させることこそが、21世紀の公教育が果たすべき役割の「一丁目
一番地」だと共感してくださる方が一人でも増えることを切 に願っています。(本文より)
------------------------
そこで、本書では、RSTの最新の研究成果をお伝えするとともに、RSTを体験していただくコーナーも設けました。ぜひ、挑戦してみてください。 「事実について淡々と書かれた短文」を正確に読むことは、実はそう簡単なことではなく、それが読めるかどうかで人生が大きく左右されることを実感することでしょう。基礎的、汎用的読解力を身につけて中学校、そして高校を卒業させることこそが、21世紀の公教育が果たすべき役割の「一丁目
一番地」だと共感してくださる方が一人でも増えることを切 に願っています。(本文より)
------------------------
著者は数学者としてAIを研究し、AIを東大に入れるためのプロジェクトを主導し、その結果、AIに何ができて何ができないかを知ります。
そして、その成果を教育の現場に還元しようとします。
そして、その成果を教育の現場に還元しようとします。
最近ではAIの顔認証技術の発展が話題に上がることが多いです。
こんな話を聞くと、「AIって図表も簡単に判別できるのでは?」なんて思ってしまいますが、実がそうではないようです。
こんな話を聞くと、「AIって図表も簡単に判別できるのでは?」なんて思ってしまいますが、実がそうではないようです。
<本文引用>------------
一方で、「人間たちの活動を表すイラスト」や「物理的状況を表すイラスト」に関しては、なぜ人間が初見 でその意図を理解できるのか、どんな教師データを集めればAIで解決できるのか、どちらもヒントのかけらさえ見えません。なにしろ、物理状況を表すイラストでは、「目に見えないものと目に見えるもの」を時に実線と点線で書き分け、過去と現在と未来の状況を一つの図に混ぜ込みます。しかも高校の理科の事情に合わせて「ありえないような嘘」をつくのです。地球上ではすべての物体に重力がかかり、物体の間には摩擦が生じます。けれども、問題によってはそれを当然のように無視するのです。この嘘に対応するために、広く使われているシミュレーションソフトの精度をわざわざ下げなければならない、という笑えない事態にも直面しました。日本の高校の指導要領に合わせた独特のイラストを教師データとして膨大に集めても、他に何の使いみちもないことは、どなたにもおわかりでしょう。しかし、そのようなデータを集めることができなければ、いつまでたってもディープラーニングでその問題を解決することはできません。確率と統計で物事を解決する、というのは、そういうことなのです。(本文より)
------------------------
一方で、「人間たちの活動を表すイラスト」や「物理的状況を表すイラスト」に関しては、なぜ人間が初見 でその意図を理解できるのか、どんな教師データを集めればAIで解決できるのか、どちらもヒントのかけらさえ見えません。なにしろ、物理状況を表すイラストでは、「目に見えないものと目に見えるもの」を時に実線と点線で書き分け、過去と現在と未来の状況を一つの図に混ぜ込みます。しかも高校の理科の事情に合わせて「ありえないような嘘」をつくのです。地球上ではすべての物体に重力がかかり、物体の間には摩擦が生じます。けれども、問題によってはそれを当然のように無視するのです。この嘘に対応するために、広く使われているシミュレーションソフトの精度をわざわざ下げなければならない、という笑えない事態にも直面しました。日本の高校の指導要領に合わせた独特のイラストを教師データとして膨大に集めても、他に何の使いみちもないことは、どなたにもおわかりでしょう。しかし、そのようなデータを集めることができなければ、いつまでたってもディープラーニングでその問題を解決することはできません。確率と統計で物事を解決する、というのは、そういうことなのです。(本文より)
------------------------
文章問題に図表を照らし合わせながらでないと解答できないような問題を混ぜ込めば、AIは、もうお手上げのようです。
<本文引用>------------
一部の読者は「やればできることをやらなかっただけ。それはAIの限界ではなく、東ロボのやる気が足りなかっただけ」と批判することでしょう。でも、どうでしょう。 世の中は、そんな「細かいこと」で溢れています。現状、あるいは近未来のAIは、AIに都合のよいデータが膨大に集まったときにのみ、その能力を発揮し、それ以外の「細かいこと」ではあまり役に立たないということを示唆しています。(本文より)
------------------------
一部の読者は「やればできることをやらなかっただけ。それはAIの限界ではなく、東ロボのやる気が足りなかっただけ」と批判することでしょう。でも、どうでしょう。 世の中は、そんな「細かいこと」で溢れています。現状、あるいは近未来のAIは、AIに都合のよいデータが膨大に集まったときにのみ、その能力を発揮し、それ以外の「細かいこと」ではあまり役に立たないということを示唆しています。(本文より)
------------------------
「基礎的読解力」が身についているかいないかを判別する方法として、著者は、「黒板の板書を書き写せることができること」を見ることを提唱します。
<本文引用>------------
182ページでも触れたように、板書を正確にある程度のスピードで写すには、
文字単位で覚えていては到底間に合いません。単語単位でも無理で、文節や分の単位で覚えられるようになる必要があります。しかし、文節や文は長いので、意味が分かっていなければ覚えられないのです。試しに次の2つの文字列を写してみるといいでしょう。
182ページでも触れたように、板書を正確にある程度のスピードで写すには、
文字単位で覚えていては到底間に合いません。単語単位でも無理で、文節や分の単位で覚えられるようになる必要があります。しかし、文節や文は長いので、意味が分かっていなければ覚えられないのです。試しに次の2つの文字列を写してみるといいでしょう。
1.おじいさんは山へ柴かりに、おばあさんは川へせんたくに行きました。
2.吾チェ伊養田陽著上でいようえ&ううぇ興病く#で碑を食え趙ドれ懸。
2.吾チェ伊養田陽著上でいようえ&ううぇ興病く#で碑を食え趙ドれ懸。
両方とも34文字ですが、1は一度か二度見れば正確に写すことが出来るでしょう。一方、2はどうでしょう。(特殊な能力でもない限り)10回以上は確認しなければ写せないに違いありません。意味がわかるというのは、それくらい人間にとって物事を容易にする力があるのです。(本文より)
------------------------
------------------------
「黒板の板書を書き写せることができること」を実現するには、「書き写す」だけでなく、「意味が分かる」ことが重要だとしています。
<本文引用>------------
「隣の子のすることを真似る」で中学年を過ごしてしまう と、中学校に進学するころには授業がまったく理解できなくなり、学習に急速に興味を失ってしまう危険性が高まります。
研究授業に参加するとき、私は先生の板書を生徒がノートに書き写すスピードに注目します。板書を写すのが遅い生徒は、文章の意味を理解していない可能性が高いからです。課題が出されたら、生徒の作業の様子にも目を注ぎます。すぐに手が勤き始めるか、なかなか動かないのか、隣の子を真似していないか、消しゴムを何度も使っていないか、などです。5分ほど観察すれば、どんなクラスなのか、学習に困難を抱えている生徒はどの子か、概ね見当はつきます。(本文より)
------------------------
「隣の子のすることを真似る」で中学年を過ごしてしまう と、中学校に進学するころには授業がまったく理解できなくなり、学習に急速に興味を失ってしまう危険性が高まります。
研究授業に参加するとき、私は先生の板書を生徒がノートに書き写すスピードに注目します。板書を写すのが遅い生徒は、文章の意味を理解していない可能性が高いからです。課題が出されたら、生徒の作業の様子にも目を注ぎます。すぐに手が勤き始めるか、なかなか動かないのか、隣の子を真似していないか、消しゴムを何度も使っていないか、などです。5分ほど観察すれば、どんなクラスなのか、学習に困難を抱えている生徒はどの子か、概ね見当はつきます。(本文より)
------------------------
恐ろしいです・・・。
前作の『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』では「基礎的読解力」と呼んでいたこの能力。
著者が代表を務め、RSTを運営する「教育のための科学研究所」では「基礎的読解力」を7分類に分けています。(以下、引用)
<本文引用>------------
係り受け解析
文の構造を正しく把握する。読解力の最も基礎となる能力。
照応解決
代名詞が何を指しているかを正しく認識する。
具体例同定(辞書)
辞書の定義を用いて新しい語彙とその用法を獲得できる。
具体例同定(理数)
理数的な定義を理解し、その用法を獲得できる。
同義文判定
与えられた二文が同義かどうかを正しく判定する。語彙力や論理力が必要。
推論
既存の知識と新しく得られた知識から、論理的に判断する。
イメージ同定
文と非言語情報(図)を正しく対応づける。
(教育のための科学研究所のサイトより)
------------------------
係り受け解析
文の構造を正しく把握する。読解力の最も基礎となる能力。
照応解決
代名詞が何を指しているかを正しく認識する。
具体例同定(辞書)
辞書の定義を用いて新しい語彙とその用法を獲得できる。
具体例同定(理数)
理数的な定義を理解し、その用法を獲得できる。
同義文判定
与えられた二文が同義かどうかを正しく判定する。語彙力や論理力が必要。
推論
既存の知識と新しく得られた知識から、論理的に判断する。
イメージ同定
文と非言語情報(図)を正しく対応づける。
(教育のための科学研究所のサイトより)
------------------------
ちなみに著者はこのテストの分析も行っており、このテストを社員に実施させた人事担当者からコメントを求められることがあるそうです。
<本文引用>------------
私は当然受検者の名前も出身大学も学部も知りません。ですが成績を見ながら「御社がこの人を採ったということは・・・・・・この人は、Dランクの私立文系で体育会出身、面接では背筋もピンとしてはきはきと答えたのが好印象だったのでしょう。営業職を、と思ったかもしれませんが、コンプライアンスを守れませんよ。マニュアルや約款を読めないからです」「この人は・・・・・・某有名私大出身のクオンツ志望ではありませんか? 具体例同定の理数の問題はよくできていますが、実は推論とイメージ同定が中学生並みです。大学入試で数学の記述式を経ていないため、数学を知識として詰め込んでいるような気がします」「この 人は、TOEICの点数かSPIの点数がものすごく良かったのではありませんか? それは対策塾に通った成果で、本当は読めていないと思います」と分析したりすると、かなりの頻度で当たるようなのです。(本文より)
------------------------
------------------------
新井先生、すごいです。
本作では、この分類に合わせた例題も用意しているため、自分で実際にトライしてみることができます。
これを実際に自分でやってみると、「正しく読む」という行為が、いかにシンドイ行為だということがわかります。
職場の同僚で、社内向けの発信文書に、これでもかというくらい文字を埋める人がいます。
彼の面白いところは、相手が反論すると、それを文字数でも覆い隠すくらいの大量の文字で埋め尽くされた返信をします。
相手は返信してこないと「あいつは俺に負けた」と一人悦に浸っています。
彼の面白いところは、相手が反論すると、それを文字数でも覆い隠すくらいの大量の文字で埋め尽くされた返信をします。
相手は返信してこないと「あいつは俺に負けた」と一人悦に浸っています。
ビジネス文章って、相手に伝え、実際に正しい行動をとってもらうことが目的ですが、この人はどうも相手をやっつけるために書いているようですね。
◆頭の中でシンクロした過去の他の完読作品
『「知」のソフトウェア』
『僕らはそれに抵抗できない 「依存症ビジネス」のつくられかた』
『デジタルで読む脳 X 紙の本で読む脳 :「深い読み」ができるバイリテラシー脳を育てる』
『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』
『ほんとうにいいの? デジタル教科書』
『「AIで仕事がなくなる」論のウソ この先15年の現実的な雇用シフト』
『一緒にいてもスマホ ―SNSとFTF― 』
『インティメイト・マシン ―コンピュータに心はあるか』
『勉強法の科学 ――心理学から学習を探る』『僕らはそれに抵抗できない 「依存症ビジネス」のつくられかた』
『デジタルで読む脳 X 紙の本で読む脳 :「深い読み」ができるバイリテラシー脳を育てる』
『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』
『ほんとうにいいの? デジタル教科書』
『「AIで仕事がなくなる」論のウソ この先15年の現実的な雇用シフト』
『一緒にいてもスマホ ―SNSとFTF― 』
『インティメイト・マシン ―コンピュータに心はあるか』
――――――――――――
■読んだきっかけ:『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』新井紀子
■読んで知ったこと:正三角形は二等辺三角形の一つ、正方形は長方形の一つ。
■今度読みたくなった作品:『ロボットは東大に入れるか』新井紀子
――――――――――――







この記事へのコメント