『ユダヤ戦記 1』

ユダヤ戦争の当事国であるローマは、実はユダヤ人自身が招き入れていたとうこと。

イスラエルに行ったときに、世界遺産「マサダ」に行ってきました。
「マサダ」とは、イスラエルにある世界遺産の一つで死海近くにある要塞。
なんでも、戦争終結の最後までローマに戦い続け、最後は兵士が集団自決して、戦争が終わるというかなり壮絶な物語を含んだ遺跡です。
そして、ユダヤの人たちはこの戦争の敗北から、2000年に渡って亡国の民と呼ばれることとなります。

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書名:『ユダヤ戦記 1』
著者:フラウィウス・ヨセフス
出版:筑摩書房(2002.02)
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著者は66年から73年までのユダヤ戦争の指揮官の一人で、戦争中、ローマにとらえられ、ローマの捕虜になった人。
捕虜になって改めてユダヤ戦争の前後を振り返り、記録し、まとめています。


『ユダヤ戦記』の原書は全七巻。
正確に言うと、全六巻に、あとで七巻目を加えて、全七巻となったようです。
私が手にしている筑摩書房版(文庫)の『ユダヤ戦記』は全三巻。
原書の第一巻、第二巻が筑摩書房版の第一巻(『ユダヤ戦記 1』)に
原書の第三巻、第四巻、第五巻が筑摩書房版の第二巻(『ユダヤ戦記 2』)に
原書の第六巻、第七巻が筑摩書房版の第三巻(『ユダヤ戦記 3』)に
おさめられています。


『ユダヤ戦記 1』では、アサモナイオス王朝の盛衰から開戦前夜までの話を収録。
『ユダヤ戦記 2』では、本作の著者であるヨセフスが捕虜になり、戦争中のユダヤの民の不安と絶望の日々の話を収録。
『ユダヤ戦記 3』では、戦争の終盤のクライマックスであるのエルサレム神殿の炎上からマサダ要塞の陥落の話と、ユダヤ戦争に関する年表などの資料や、訳者の解説を収録。


私、ユダヤ戦争を、ローマVSイスラエルという単純な2国間の戦争だと思っていました。

<本文引用>------------
今から二〇〇〇年前、紀元後六六年から七〇年にかけて、パレスチナのユダヤ人たちはローマを相手に戦った。
最初ギリシアのアカイアに滞在中のネロ帝の指示でパレスチナに派遣されてきたのは、後にローマ皇帝になる老練な指揮官ウエスパシアノスとその息子ティトスだった。東方のシリアの国境とエジプトのニコポリスに駐留するローマの正規軍の出動を要請したのは、パレスチナに駐在のローマ総督ではなくユダヤの王アグリッパス二世だったから、話は複雑だ。王には、王国内の反ローマ勢力の一掃のねらいがあったようである。もしかしたら、最初は、それがすべてだったのかもしれない。(本文より)
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これは、訳者である秦剛平氏による訳者はしがきです。
どうも、ユダヤ人が今のイスラエルのようにまとまっていたわけでなく、ユダヤ人がそれぞれグループを作って小競り合いをするような群雄割拠の時代だったようです。
どうもヘロデ王の後は、ユダヤ人同士で内部抗争をしており、そのグループの一つが自分たちのグループが有利に立ち回るために、外国勢力であるローマを引き込んだようです。
(これって、朝鮮半島で、朝鮮人自身が中国や日本を招き入れるのと同じような構造ですね)


イエス・キリスト誕生の時に、男子を殺害しまくったことで有名なヘロデ王。
『ユダヤ戦記』でも、しっかり登場します。
特に『ユダヤ戦記 1』では、かなりページを割いて、登場します。

<本文引用>------------
ヘロデの肉体はその精神力と釣り合うものだった。彼はとくに馬術の経験に抜きん出ていたために、つねに最高の狩猟家だった。一日で四〇頭の獲物を仕留めたこともあった。この国には猪が棲息していた。それよりも多数いたのは鹿や野生の驢馬などであった。戦士としても彼に太刀打ちできる者はいなかった。とにかく多くの者が、彼が実践で投げる投げ槍の正確さや、矢を的中させる精度を目にして仰天した。ヘロデは肉体と精神に傑出していたばかりでなく、テュケー(擬人化された幸運の女神)の祝福も受けていた。戦闘で負けることは稀だったし、破れることがあっても、それは彼が原因ではなくて、部下たちが投げ出したか、兵士たちの無謀な行動によるものだった。(本文より)
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新約聖書に登場している通りの暴君ぶりも書かれていますが、リーダーとしてはなかなか心強いです。


驚いたのは、同時期の人物描写。

<本文引用>------------
さてネロン(ネロ、在位五四―六八年)が、過度の繁栄と富によって錯乱し、テュケー(擬人化された幸運の女神)を侮って犯した多くの蛮行、すなわちどのようにして彼が兄弟や、妻、母などを順次殺していったか、どのようにしてそこから貴族の者たちへと彼の狂暴の矛先が向けられたか、そしてついには気が狂って芝居の舞台や劇場に身をさらすようになったかなどについては、すべて民衆を介して知られているので、これらのことは省略し、ネロンの時代にユダヤ人に見舞った出来事に向かおう。(本文より)
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飛行機もない、自動車もない、電話もない。
当然、GoogleニュースやTwitterもない時代。
そんな時代にもかかわらず、ネロさんの暴虐ぶりはしっかり、ユダヤ人指揮官の耳に入っていたんですね。


◆頭の中でシンクロした過去の完読作品

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■読んだきっかけ:イスラエル旅行。
■読んで知ったこと:ユダヤ戦争の当事国であるローマは、実はユダヤ人自身が招き入れていたとうこと。
■今度読みたくなった作品:『ユダヤ戦記 2』フラウィウス・ヨセフス
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