「公正世界仮説」という考え方と、それが持つ危険性。
私は職場が新宿にあるため、大きな書店はわりと身近な存在です。
特に通勤途中にある大手町駅の丸の内オアゾにある丸善・丸の内本店。
ここの書店を除くと、読書好き(たぶん)の大手町ビジネスマンが好きそうな内容に合わせてディスプレイを展開しています。
お店を除くと、大手町ビジネスマンの欲しそうな本のジャンルが見えます。
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書名:『武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50』
著者:山口周
出版:KADOKAWA(2018.05)
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著者は慶應義塾大学文学部哲学科卒業の電通、ボストン・コンサルティング・グループでのサラリーマン経験を持つ著述家、コンサルタント。
本作では、たくさんの著名な哲学者を紹介し、実生活とくにビジネスの分野でどう応用できるかを紹介しています。
冒頭でも紹介したように、最近の書店、特にビジネスパーソンが多く訪れる書店の店頭には、「哲学」だの「宗教」だの「世界史」だの、中学や高校で軽く教わった経験があるものの、そのまま、なんとなに記憶のどこかに行ってしまったようなキーワードが並んでいます。
中学校のころ、思いっきり背伸びして、岩波文庫の『ツァラトゥストラはこう言った』を買ったものの、なんだかよくわからず、そのまま読まずに放置してしまった記憶があります。
時間的な制約もあったのかもしれませんが、学校で習う哲学の授業って、なんか面白くなかったような。
授業では、哲学者が“悩み”、そして、その理由を探ろうとしていることを習います。
一方、生徒である子どもだって“悩み”はあります。
でも、授業で習う哲学者の“悩み”と、私たち子どもの“悩み”が今一つリンクしなかったような記憶があります。
“悩み”と“悩み”の乖離。
この乖離の原因を本作の著者は冒頭で説明します。
<本文引用>------------------------
この点については次節であらためて詳しく説明しますが、哲学の初心者が挫折してしまう大きな要因の一つとして「古代ギリシアの哲学があまりにもツマラナイから」という点が挙げられます。古代ギリシアの哲学者たちが残した考察の多くは、現在を生きる私たちにとってはあまりにも自明であったり、あるいは誤りであったりすることが多く、そのような考察を学ぶことの「意味合い」を見出すのが難しい。結果として、その段階で辟易してしまって先に進めなくなってしまうわけです。(本文より)
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昔っから人は悩んでいるので、過去の悩みも有効に活用できそうなものですが、どうもそうはいかないようです。
残念ながら、中学校あたりの授業で哲学に触れても、なかなか実生活とのリンクが果たせずに過ごし、そして社会に出ると、更にその乖離は大きくなります。
それぞれの会社で必要な知識の取得や、会社の目標に追われることになります。
私の場合は銀行員。
「今私が扱っているお金とはいったい何だろうか?単なる空想の産物ではないか?」
そんなこと言おうものなら先輩から
「さっさとお客のところに行って預金取ってこい!」
なんて怒鳴られそうです。
本作では、コンサルタントとして活躍する著者が、著名な哲学者とその考え方を、上手に、実社会にリンクさせてくれます。
1999年5月、ブリヂストン本社の社長室で社員(元課長)が切腹自殺を図りました。
この事件を本作では取り上げています。
<本文引用>------------------------
第3章「社会」に関するキーコンセプト公正世界仮説7 3「見えない努力もいずれは報われる」の大嘘メルビン・ラーナー(1929-1)ウe-タール-大学社会心理学教授を1970年から1994年まで務めたのち、現在はフロリダアトランティック大学の客員研究員二正義」に関する心理学的研究の先駆者とされる。日の当たらない場所であっても、考え方をする人は少なくありません。考える人です。地道に誠実に努力すればいつかきっと報われる、というつまり「世界は公正であるべきだし、実際にそうだ」と社会心理学では「公正世界仮説」と呼びます。公正世界仮説を初めて「世の中というのは、頑張っている人は報われるし、そうでないこのような世界観を、提唱したのが、正義感の研究で先駆的な業績を挙げたメルビン・ラーナーでした。公正世界仮説の持ち主は、人は罰せられるようにできている」と考えます。張っていれば、このような世界観を持つことで、例えば「頑いずれは報われると考え、中長期的な努力が喚起されるのであれば、それは
(本文より)
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リストラされたサラリーマンの悲しい最後という同情的な意見もあるかもしれません。
これを、著者はメルビン・ラーナーの考え方を使って解説しています。
<本文引用>------------------------
寝食を忘れ、家庭を顧みる暇もなく働いたのは、そのような人生を選んだ個人の自由意志であって、、そうすることに対して会社が報いるかどうかはまた別の問題なのですが、「世界は公正でなければならない」と考える人たちにとって、これは許されないことなのです。
世界は公正ではありません。そのような世界にあってなお、公正な世界を目指して戦っていくというのが私たちに課せられた責務でしょう。人目につかぬ努力もいずれは報われるという考え方は、人生を破壊しかねないのだということをよく覚えておいてください。(本文より)
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社長室に刃物をもって押し入る。
これはもうテロリストと同じ行為です。
自分が理想や信念を抱くのは、自由。
ただ、それを自分の精神世界にとどめて置くのではなく、周囲も同じ精神世界を持っていると勘違いしてしまう怖さを改めて知らされました。
◆頭の中でシンクロした他の完読作品
『武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50』
『武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50』
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■読んだきっかけ:書店店頭
■読んで知ったこと:「公正世界仮説」という考え方と、それが持つ危険性。
■今度読みたくなった作品:『哲学と宗教全史』出口治明
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