『原因を推論する ――政治分析方法論のすゝめ』

“因果関係”と“時間的な差異”。

「スーパーで紙おむつを買った人は缶ビールを買う傾向がある」
社会人なりたての頃に読んだビジネス書でこんな文を見つけました。
私が“相関関係”ということを知った最初の一文かもしれません。

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書名:『原因を推論する ――政治分析方法論のすゝめ』
著者:久米郁男
出版:有斐閣(2013.11)
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著者は政治学者で早稲田大学政治経済学術院教授(2013年)。
政策を決定するうえで重要になる「物事の原因」の考え方を解説しています。


正直、やや学術的な装丁ですが、内容の面白さに驚きました。
サブタイトルには「政治分析方法論のすすめ」とあります。
以前読んだ『政策リサーチ入門―仮説検証による問題解決の技法』でも書きましたが、なんとなく、“政治”や“政策”なんて言葉を見ると、「オレ、関係ねえや」なんて思ってしまいがちです。

でも、この本作には、“政治”や“政策”ということに限定するにはもったいないくらい、幅広い分野で応用できる「物事の原因」の考え方がちりばめられています。

冒頭の「スーパーで紙おむつを買った人は缶ビールを買う傾向がある」。
“相関関係”を見つけると、どうも、それを、“因果関係”と混同してしまいます。

“相関関係”はAが多い(少ない)とBも多い(少ない)」関係。
“因果関係”はAが多くなると(少なくなると)からBが多くなる(少なくなる)」関係。
“因果関係”には、時間的な差異が必要なんですね。

<本文引用>------------------------
高根正昭は、今や研究方法論教科書の古典となった名著『創造の方法学』において、以上見てきた三つを、因果関係が成立するための条件としてあげている。すなわち
①独立変数と従属変数の間に共変関係がある
②独立変数の変化は、従属変数の変化の前に生じている(時間的先行)
③他の変数を統制(コントロール)しても(他の変数の値を固定しても)共変関係が観察される
の三つである。(本文より)
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本作が解説する“相関関係”と“因果関係”。
人口減少に対する政策、民主化を進めるための政策といった、いわゆる“政策的”話題だけにとどまりません。


関係性を図るには“相関関係”の有無を知るは大切。

でも、そこから一色跳びに「“因果関係”あり!」にとびつくのは危険なんですね。


また、本作では
「先頭打者にフォアボールを出すくらいなら打たれた方がマシ」
こうした問題も取り上げています。
著者がわかりやすく「原因を推論する」を伝えたい思いが伝わってきます。


◆頭の中でシンクロした過去の完読作品

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■読んだきっかけ:Amazon
■読んで知ったこと:“因果関係”と“時間的な差異”。
■今度読みたくなったもの:高根正昭『創造の方法学』
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