高圧経済論とMSSE。
2026年9月、第2次高市内閣が発足しました。
この時に話題になったのが「役職希望アンケート」です。
これは自民党所属議員に事前に実施したアンケートで、この結果を重視して人選を行ったのだそうです。
あるジャーナリストはこのアンケートに対し、「派閥を解消してしまったために派閥からの推薦が無く、こんなことをやることになった」とややネガティブに評価していました。
じゃあ、以前はよかったのかというと、それもどうかなと。
大臣就任にあたってよく出てくるワードが「当選回数」。
もちろん、「当選回数」だけで決めているとは思いませんが、選挙での強さと、専門省庁のトップに立つ能力って関係あるのかな、なんて思ったりしています。
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書名:『月刊正論2026年5月号』
著者:月刊正論編集部
出版:日本工業新聞社(2026.04)
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本誌は1973年11月創刊の保守系の言論誌。
本号の特集は
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特集:高市トランプ同盟
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です。
「役職希望アンケート」とともに話題になったワードが「指示書」です。
高市早苗総理で話題になったのは、昨秋の初組閣時、閣僚向けに発出する政権の方針や政策上の柱、具体的な業務を文書化した「指示書」の全文公開に踏み切ったことです。そして今回の衆院選大勝を受けた第2次政権の発足でも、その方針を踏襲しました。
「指示書」は「閣僚指示書」や「大臣指示書」ともいい、内閣総理大臣が発足・改造した内閣の各閣僚(大臣)に対して、「政権としてこの政策を重点的に進めてほしい」という具体的業務を命じる公式文書です。
この「指示書」は、高市総理になって始まったものではなく、もともとあったものです。
では、なぜこれほど話題になったのか。
飯田泰之氏(明治大学政治経済学部教授)が寄稿する「サナエノミクスは何を目指すのか」。
<本文引用>------------
高市早苗総理は昨秋の初組閣時、閣僚向けに発出する政権の方針や政策上の柱、具体的な業務を文書化した「指示書」について、 全文公開に踏み切った。そして今回の衆院選大勝を受けた第二次政権発足でも、その方針を踏襲した。
従来もこの種の「指示書」は各閣僚に渡されていたし、格別の機密事項ではなかったようだ。それでも全面公開され、かつそれを定例化していく流れは今後の政策論議にとって有益だと感じる。(本文より)
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そして、この効果について飯田氏が詳しく解説しています。
<本文引用>------------
第一に、全面公開によって政権の目指す方向性について、メディアが切り取ることが出来なくなった。
これまでも「指示書」のリーク報道はあった。記者にとっては、 有力政治家と個人的な信頼関係があることの証左となるし、大臣にとっても自身、あるいは自省庁にとって都合の良い形での情報コントロールを可能とした。「指示書」を巡ってはこのような双方にとってウィンウィンの構図が築かれていた。しかし、全面公開によって、こうした関係性は大きく変化するだろう。(本文より)
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2025年10月、高市早苗総裁への「囲み取材」を待っていた報道陣の一部が「支持率下げてやる」などと発言したとされる動画が拡散されました。
メディアが自分たちで支持率を上げたり下げたりできると思っている傲慢さが、見事に現れた発言です。
こうした感覚を持ったメディアを通すことなく、直接、国民にメッセージを届けることができるというわけですね。
これまで「高圧経済論」に関してたくさんの解説をしてきた飯田氏ですが、本稿では「MSSE」という経済理論を取り上げています。
<本文引用>------------
高圧経済論自体は一九七○年代から存在している。先に挙げたイエレン氏もかつてこの分野を研究していた。その要点を単純化すれば「人手不足、すなわち供給力不足の状況が、供給能力そのものを鍛える」という発想にある。人手が足りなくなれば、省力化のための技術投資が進む。また、労働市場が逼迫すると、これまで相対的に不利な立場にあった労働者も安定的な職を得やすくなり、OJTを通じて生産性向上の機会を得られる。さらに、景気の良い局面であれば、より条件のよい新産業へ移っていこうという前向きなリスキリングも起こりやすい。この場合は「失業を迫られて仕方なく」ではなく「もっと良い仕事があるから」という前向きなインセンテイブも働き得る。
ただし、こうした労働移動や人材育成は、景気が良ければ自然に起きるというほど単純ではない。
そもそも「新産業」とは何なのか。それが明確でなければ、労働者は移動しようがない。足元では、今後重要になる産業が製造業であることは次第に明らかになってきているが、ずっと事務職をしてきた人をどう製造業へ移すのか。そのためのリスキリングをどう設計するのかは簡単ではない。
加えて、不況が長引けば、人はとりあえずハードルの低いサービス産業へ流れる。巨大都市部への人口集中も起きやすい。高学歴層では、ここしばらく金融などが花形産業になってきたが、それらは大都市圏でないと成立しにくい産業でもある。ところが、製造業を振興しようとすれば、工場用地の制約などから労働現場は往々にして地方に置かれる。
そうすると、問題は単なる成長戦略ではなく、どうやって人を地城的に分散させ、都市への一極集中を是正し、必要な産業へと再配置するかになる。
そもそも、日本では転職市場が薄く、自発的離職による産業移動が起こりにくいという事情もある。(本文より)
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「高圧経済論」ですべて解決、ということにはならないんですね。
<本文引用>------------
こうした「高圧経済論」だけでは解決し得ない課題に対して、登場してきたのがMSSEである。アメリカでは「生産力主義」といった言い方がなされ、イギリスでは安全保障投資に近い文脈でも語られている。要するに、高圧経済論の理念である人材育成や労働移動を、具体的な政策に落とし込もうとするものなのだ。(本文より)
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「MSSE」は「Modern Supply-Side Economics」の略です。
以前読んだ『中央公論2026年6月号』の「高市政権の正念場 手段としての財政、目的としての官民投資」で、飯田氏は「現代サプライサイド経済論」として解説していました。
時系列的には今後は「現代サプライサイド経済論」が一般化するかも知れませんね。
この「MSSE(現代サプライサイド経済論)」では、政府が半導体工場、研究開発、人材育成、インフラなどを支援する役割が求められるようです。
原英史氏(政策シンクタンク代表)の連載「暴走する新聞報道」第41回『「国土の均衡ある衰退」を断ち切れ』では、さまざまなデータを使って「東京一極集中」を再考するとともに、目指すべき政策を提言しています。
<本文引用>------------
「東京一極集中の是正」は、異論をはさむ余地のない政策課題のようにとらえられがちだ。しかし、考えてみると、おかしな点が多い。
まず、仮に一極集中が起きているとして、なぜ「是正」すべきなのか。生存・繁栄に適した場所への人口集中は、自然の摂理であり、人類の歴史上常に生じた。適切に集中してきたからこそ、人類は生き残り、文明が発達した。(本文より)
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さらに本稿では、「東京一極集中」に対する従来の事実認識についても再考していきます。
<本文引用>------------
「東京一極集中」という事実認識も間違っている。これは、八田達夫・アジア成長研究所所長や八代尚宏・昭和女子大学特命教授らが長年指摘してきたことだが、ポイントを三点あげておこう。
第一に、東京圏への人口集中は七○年代に終わった(図1)。高度成長期(一九五五~一九七〇年)には、都市と地方の所得格差が大きかったため、より多く稼げる都市圏への大規模な人口流入が生産性の高い成長分野に労働力が起きた。経済全体でとらえれば、 効率的に配分され、この結果、高い経済成長が実現した。
ところが、政治の事情から、自然の摂理と市場経済の原則に反する介入がなされる。「工場等制限法」による工場・大学の設置制限(一九五九年首都圈、一九六四年近畿圏)、一九六〇年代以降の高米価政策、さらに「日本列島改造論」(一九七二年)の掲げた「国土の均衡ある発展」を旗印に、公共投資の地方への偏った配分がなされた。こうして人為的に地方の所得が引き上げられた結果、都市圏への人口流入は急停止し、高度成長の終焉をもたらした。(本文より)
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掲載されているデータを見ていると、確かに「今も東京一極集中なの?」と思えてきます。
<本文引用>------------
取り組むべきことは三つだ。第一に、「東京を弱くする」政策の転換だ。さして効果があがっていないとはいえ、大学の定員数制限などは早急に取りやめ、「東京も強く豊かに」することを政策目標に掲げるべきだ。
第二に、主要都市への「多極集中」の促進だ。過疎地からの撤退は困難な課題だが、ほとんど使われない社会資本の維持にコストをかけ続けることはできない。二拠点居住などを制度的に促進しつつ、円滑な撤退を進めるべきだ。
第三に、「都市間の競争活性化」だ。東京を強くするためにも、競争が必要だ。国内一人勝ちに安住していては、国際競争力は低下するばかりだ。自民党と維新の会の連立合意で掲げられる「副首都構想」はこの観点で重要だ。
首都機能のバックアップとの観点が注目されがちだが、より重要なのは、東京と別の成長エンジンを作って競い合うことだ。場合によっては、かつて二十世紀初頭には一極集中していた大阪(繊維工業を中心とした阪神工業地帯)を戦後に東京が抜き去ったように、逆転の可能性もあるかもしれない。そうした競争に向け、特区方式での規制改革、都市インフラの強化などの制度整備が肝要だ。
さらに、副首都構想の延長で、「道州制」が本丸の課題だ。今後の日本は、地域の主要都市が支えることになる。これらを中心として、高度の自治権をもつ道州政府を設け、規制設計やインフラ整備など成長戦略を競い合うことが望ましい。これまでの「地方保護政策」ではなく、「地方の競争活性化」によってこそ、本当の「均衡ある発展」が可能になる。(本文より)
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ここで副都心構想につながるのですね。
最後は、雑誌の座談会「『左』も『右』もメッタ斬り! メディア裏通信簿」です。
<本文引用>------------
女史 ついでに言えば中道改革連合の小川淳也代表が衆院予算委員会で、WBCを球場で観た閣僚に挙手を求めて、逆にひんしゅくを買ってたね。
先生 ヤツは本当にセンスがない。あの質問、完全に逆効果だろ。
ちなみに、今回のWBCは日本ではネットフリックスの独占放送で地上波テレビでは観られなかったんだが、朝日新聞は天声人語で 「『無料でテレビ観戦』が当然だった世代としては、加入しないと見られないのは複雑な思いだ」とか書いていた。ちょっと待て。地上波も、NHK受信料を払う必要があったはずだが、天声人語の筆者は受信料なんて払ってないのかね(笑)。
まあ、カネ払ってまで観られない人はニッポン放送のラジオ中継を聴け、って話だったのかもな。(本文より)
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中道改革連合。
今ではこの名前を聞くと、「トクリュウ」や「受け子」や「公金チューチュー」というワードが浮かんできます。
◆頭の中でシンクロした他の完読作品
『月刊正論2026年5月号』
『中央公論2026年6月号』
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■読んだきっかけ:『月刊正論2026年4月号』月刊正論編集部
■読んで知ったこと:高圧経済論とMSSE。
■今度読みたくなった作品:『月刊正論2026年6月号』月刊正論編集部
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![月刊正論 2026年 05月号 [雑誌] - 正論編集部](https://m.media-amazon.com/images/I/51DG2dlKd6L._SL500_.jpg)



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