2023年調査における学生への家庭からの給付は年間110万円。
奨学金。
その返済負担を巡って様々な議論があります。
たびたび、「返済ができない」という学生たちの声が上がり、それをメディアが「悲痛な叫び」として取り上げます。
奨学金には、「貸与型」の奨学金と「給付型」の奨学金があります。
そして返済不要な「給付型」には「学力基準」というものがあります。
そのうちの一つが「高等学校等における第1学年から申込時までの全履修科目の評定平均値が、5段階評価で3.5以上であること。」です。
一定の成績を収めていると、返済が不要な奨学金の給付を受けることができるようです。
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書名:『現代思想 2025年4月号』
著者:現代思想編集部
出版:青土社(2025.03)
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本誌は青土社が発行する月刊の思想誌。
本号の特集は
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特集:教育は敗北したのか ―新自由主義教育・子どもの貧困・闇バイト・・・・・・
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です。
「学生の貧困」を取り上げています。
「特集 教育は敗北したのか――新自由主義教育・子どもの貧困・闇バイト」に大内裕和氏(教育社会学)が寄稿する「「学生・若者の貧困」の現在地――「家族セーフティーネット」の強化と限界」。
現在の学生の貧困状態を指摘します。
<本文引用>------------
二〇一〇年代に入ってから、私は勤務先の中京大学において、中京大学において試験前や試験期間中に「アルバイトのために勉強できない」という学生の悲鳴に出会った。さらに、アルバイトのために試験そのものを欠席して単位を落とす学生、そしてアルバイトのために就職の面接に行けない学生の存在を知った。私は「このままでは大学教育を行うことは困難」と考え、二〇一三年六月、 学生のアルバイト調査を実施した。(本文より)
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うーん、私の大学でもアルバイトに積極的になりすぎて期末試験をバックレたり、留年したりする学生はいたけどなあ。
<本文引用>------------
その調査によって私は驚くべき実態を知ることができた。学業に差し支える長時間労働、賃金未払い、サービス残業、ノルマを達成できないときに自分で商品を買い取る「自爆営業」、 本人の希望を無視したシフト設定、辞める場合の罰金請求、バワハラ、セクハラなど、違法行為や劣悪な働かせ方が横行していた。そこで私はこうした「学生であることを尊重しないアルパイト」のことを「ブラックバイト」と名づけた。(本文より)
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ブラックバイト。
私も耳にしますが、そもそも「辞める」という選択肢があるのに、なぜそれを取らないかが不思議なところです。
もっとも、最近が「退職代行サービス」なんてビジネスもあるくらいですから、「“辞めます”を自分で言えない」はトレンドなのかもしれませんね。
<本文引用>------------
ブラックバイト登場の社会的背景は第二に、非正規雇用の増加による労働市場の変化である。一九九○年代以降、政府・財界の規制緩和政策などによって、正規雇用の急減と非正規雇用の急増が進んだ。総務省の「労働力調査」によれば、非正規労働者の数は一九九四年の九七一万人から、二〇一三年の一九一〇万人に増加した。二〇一三年、非正規労働者の全労働者に占める割合は三六・六%に達した。
正規労働者の割合が高かった時期は、非正規労働者の多くが正規労働者の「補助」労働の役割を果たしていた。しかし、非正規労働者の増加と正規労働者の減少は、労働市場における非正規労働者の位置付けを変えた。正規労働者の減少によって、 非正規労働者は職場の「基幹」労働を担うことを余儀なくされるようになった。
「基幹」労働になってしまった非正規労働者は、かつての「補助」労働の時のように、自分の都合で休んだり、シフトを調整したりすることが容易ではなくなる。バイトリーダー、バイトマネージャーなど、学生バイトであるにもかかわらず、正規労働者並みの義務やノルマを課されることが、珍しくなくなっているのもそのためである。(本文より)
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著者は
非正規労働が増えた → 非正規労働者が正社員並みに働かせられるようになった → アルバイトのブラック化
と言いたいのでしょうが、うーん、なんとも。
私は仕事柄、派遣や短期バイトとチームを組んで仕事をしています。
一番の悩みは、シフト編成です。
何が悩ましいかというと、当日、シフト調整する場面が多いからです。
原因は当日朝の「・・・今日いけません・・・」という連絡。
正直、「まあ、そんなもんか」という感じ。
そのため、正規労働者である私は休みがとりにくくなっています。(それはそれで問題なのですが・・・)
ですから、著者の主張する
「かつての「補助」労働の時のように、自分の都合で休んだり、シフトを調整したりすることが容易ではなくなる。」
にはなかなか賛同できないです。
<本文引用>------------
日本学生支援機構の「学生生活調査」によれば、学生への家庭からの給付は、二〇一二年の年間一二二万円から、二〇二三年の一一〇万円へとこの時期も減少していることから、学生の経済状況はより厳しくなっていることが明らかである。学生の経済状況がより厳しくなるなかでの奨学金利用率の低下は、卒業後の返済困難を強く意識することで、貸与型奨学金利用を忌避する傾向が強まったことを示している。家庭からの給付が減少するなかでの奨学金利用率の低下は、学生にとってアルバイトによる収入がより重要となったことを意味する。(本文より)
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うーん、毎月8万円の仕送りで何とか大学生活を過ごしてきた私。
家庭からの給付は8万円×12ヶ月で96万円ということか。
でも、別に変なバイトには手を出さなかったなあ・・・。
私のアパートには同時期に入学した学生が5人いました。
仕送りが一番低いのは私で、他は10万円~12万円だったような。
たしかに、彼らのようにパチンコやファミコンでの“散財”は出来ませんでしたが、かといって、自分が“貧困”とも思わなかったような・・・。
ただ、大学生のころ、年齢が一回りも二回りの上の大人にすごまれて、ビビってしまう場面は多かれ少なかれありました。
大学生には、契約解除や労働基準法などの諸制度や、問題だと思ったときのセーフティネットは重要だと思います。
◆頭の中でシンクロした他の完読作品
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■読んだきっかけ:X(旧Twitter)
■読んで知ったこと:2023年調査における学生への家庭からの給付は年間110万円。
■今度読みたくなった作品:『現代思想 2015年4月号』現代思想編集部
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