「公平さ」へのこだわりが引き起こす不満。
私は大学卒業後、ずっとサラリーマンしています。
働いている人には、評価されている人たちもいれば、評価されていない人たちもいます。(もちろん、私のようにどちらとも言えない人もいますが・・・)
そして、評価されていない人たちなかには、徹底して「評価制度」を批判している人がいます。
彼ら彼女らの批判は大方「公平でない」です。
このグループと一緒に飲ものなら、話題は「会社批判」や「経営批判」や「上司批判」や「(自分以外の)社員批判」。
私は元来ケチなので、こうした飲み会に「お金」や「時間」を費やすのが本当にいやなので、こうしたグループだと察知したら、極力、距離を置くようにしています。
――――――――――――
書名:『ポリティカル・スキル 人と組織を思い通りに動かす技術』
著者:マリー・マッキンタイヤー(著)、桜田直美(訳)
出版:SBクリエイティブ(2024.03)
――――――――――――
著者は「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙、「ニューヨーク・タイムズ」紙などにキャリアに関するアドバイスを執筆するワークプレイス心理学者。
翻訳は『ロングゲーム 今、自分にとっていちばん意味のあることをするために』や『睡眠こそ最強の解決策である』といった
自己啓発や心の在り方持ち方に関して多くの翻訳作品を持つ翻訳家。
原題は『Secrets to Winning at Office Politics: How to Achieve Your Goals and Increase Your Influence at Work 』。
直訳すると『社内政治で勝つための秘訣:職場で目標を達成し、影響力を高める方法』といった感じでしょうか。
会社への不満。
著者はそれらを組織で働くゆえに発生するものとします。
<本文引用>------------
・自分の上司は無能だ、不公平だ、理不尽だと感じている人たち
・上司や経営陣から何を期待されているかがわからず、混乱し、不安を抱えている社員
・忙しすぎる、自分の貢献が認められないと感じ、不満を抱えて燃え尽きてしまう社員
・仕事のスタイルが根本的に違うために、しょっちゅうぶつかっている同僚たち
・利害の衝突から争いに発展した同僚たち
・仕事のできない部下をどう扱っていいかわからず、イライラしている上司
・自分は何らかの形で不当に扱われていると感じている、本当にたくさんの人たち
彼らが経験している不幸は、それが何であれ、どれも例外なく「組織の力学」が原因になっています。いわゆる「社内政治」は特別なものではなく、通常の仕事の一部であり、仕事として管理しなければならないということに気づけば、組織の仕組みを理解するのは仕事に欠かせないスキルであるということも、すぐに納得できるでしょう。(本文より)
------------------------
言い換えると、組織で働こうとする以上、これらの不満は避けられない気がします。
そのように考えてみると、不満のたびに、その不満を掘り下げて解決していくよりも、こうした不満とうまく付き合っていくほうが合理的に思えてきます。
以前私が勤務していた会社では、評価のたびに長時間、延々と評価に関する自説を唱え続け、会社の評価制度への不満を口にする人がいます。
半年ごとにそれを繰り返すので、3回目の時に、
「君、そんなに平等な評価制度の自説があるなら、その評価制度を作り上げる部署に行こうとは思わないの?」
と来てみました。
すると、
「それは違う、私のやりたい仕事ではない」
と反論。
彼が一貫して口にするキーワードが「平等」と「公正」でした。
<本文引用>------------
組織スキルを身につける第一歩は、「組織の掟」を受け入れることです。組織の中では、民主的な価値観がいつでも通用するわけではありません。残念ながら、前に登場したアランのように、たとえ優秀であっても「組織の掟」が理解できない人もいます。
表現の自由が守られる、すべての人が自由と平等を享受できる、人民の、人民による、人民のための政治――どれも民主的な社会では大切な価値ですが、職場では必ずしもこれらの価値が重視されているわけではありません。職場も民主的であるべきだという思い込みに固執していると、いずれ失望することになるでしょう。
組織で生き残り、圧倒的な成果を上げるには、次にあげる組織の掟を受け入れなければなりません。(本文より)
------------------------
私は30年もサラリーマンをやっているので、「良い評価」をもらったとこもあれば、「悪い評価」をもらったこともあります。
では「良い評価」をもらったときの評価が「平等」で「公正」だったかと言えばそうでもなかったように思いますし、逆に、「悪い評価」をもらったときの評価が「不平等」で「不公正」だったかと言えばそうでもなかったように思います。
大体、あからさまは情実評価ばかりやっていたら、今の時代、まともな人はどんどん去っていきますので、会社の業績だって同然悪くなるでしょう。
著者はそもそも組織で働くことを決めた以上、「公平さ」へのこだわりを捨てよ、と言います。
<本文引用>------------
実践3 「公平さ」へのこだわりを捨てる
・職場で「不公平だ」と感じることをすべてリストアップします。その中に、組織の掟と関係のあることはいくつあるでしょう?
・その不公平だと感じることに対して、自分にできることをリストにします。もし本当に状況変える必要があるのなら、今すぐに行動を起こしましょう。もし自分にできることが1つも思いつかない、あるいは実際はそこまで重要なことではないのなら、何もしないのがいちばんです。忘れてしまいましょう!
公平であることにこだわるのはエネルギーの無駄づかいであり、そのエネルギーは、他のもっと生産的な活動のために使わなければなりません。自分の目標を達成することに集中しましょう。(本文より)
------------------------
友だち2人だけでも、自分の「普通だろ」と、相手の「普通だろ」が異なることは往々にしてあります。
まして、人数がその何十倍、何百倍、何千倍の人数が集まる「組織」であれば、なおさらです。
<本文引用>------------
組織スキルを高めれば、あなたにとって大切な目的が何であれ、それを達成できる確率を上げることができます。しかしその前に、まず自分が何を目指すのかを明確にしなければなりません。ここで大切なのは、「目標」と「願望」をきちんと区別することです。
「願望」ベースから「目標」ベースに思考を切り替える
仕事で何らかの問題を抱えると、私たちはよく「目標」ではなく「願望」ベースで考えてしまいます。
「願望」は受動的な態度であり、簡単に不平不満に堕してしまいます。一方で「目標」には、 必要な行動を明確にしてくれる力がある。願望にかける時間が増えるほど、何か実のあることを達成するための時間は少なくなるでしょう。しかしありがたいことに、願望の中には、たいてい「目標」のヒントが含まれているものです。(本文より)
------------------------
そもそも自分の「普通だろ」が通じない「組織」。
そんな「組織」の中で、自分が実現したいのは「願望」なのか、「目標」なのか。
改めて考え直す機会を与えてくれる一冊でした。
◆頭の中でシンクロした他の完読作品
『サボタージュ・マニュアル 諜報活動が照らす組織経営の本質』
――――――――――――
■読んだきっかけ:TOPPOINT
■読んで知ったこと:「公平さ」へのこだわりが引き起こす不満。
■今度読みたくなった作品:『平等とは何か-運、格差、能力主義を問いなおす』田中将人
――――――――――――







この記事へのコメント