『「わかりやすさ」を疑え』

「わかりやすさ」の誘惑。

ある時、たまたま聞いたラジオ番組に、心をぐっとつかまれました。
その番組は、ニッポン放送の『ザ・ボイス そこまで言うか!』です。
私はラジオ派で、毎朝ニッポン放送の朝の番組で目を覚ましているのですが、夕方にもこれほど面白い番組があることに驚きました。
2018年から、この番組は『飯田浩司のOK! Cozy up!』として朝の番組に移行しました。
毎回登場するゲストコメンテーターが提供する多彩な情報は非常に役立ち、学びが多いです。
さらに、飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーのコンビは、ゲストから巧みに情報を引き出し、リスナーにわかりやすく伝えてくれる点も魅力です。

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書名:『「わかりやすさ」を疑え』
著者:飯田浩司(著)
出版:SBクリエイティブ(2024.10)
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著者はニッポン放送アナウンサーで、2018年から放送開始しているニュース番組「飯田浩司のOK! Cozy up!」のキャスター。
日常大量に接し、調べている報道の問題を指摘します。

20247月に投開票された東京都知事選。
前参院議員の蓮舫氏は明治神宮外苑再開発計画の是非を問う住民投票の実施を公約に掲げました。
都心の中にある緑地で訪れる人にとって憩いを与える明治神宮外苑。
私は明治神宮外苑の近くにある「ラーメンの店 ホープ軒 千駄ヶ谷店」が大好きです。

朝日新聞、毎日新聞、東京新聞の論調では、「自然破壊に挑む蓮舫氏」って感じで報道していました。
でも、別の報道(その一つは「飯田浩司のOK! Cozy up!」)を見聞きしていると、実はあの土地って、宗教団体である明治神宮の持ち物であることを知りました。

<本文引用>------------
さらに、都知事選の争点の一つとされた明治神宮外苑の再開発問題も、その背景をしっかりと見ていくと別の側面が見えてきます。一見すると、外苑の緑を再開発によって潰してしまうことになるので、それに反対するという構図に見えますが、実際の計画では一部移植なども使いながら全体としては増えるということはあまり知られていません。
また、そもそもこの土地は宗教団体である明治神宮の持ち物であり、事業主体は明治神宮と伊藤忠商事、三井不動産という民間セクターです。明治神宮球場や第二球場、軟式野球場、室内練習場、秩父宮ラグビー場に聖徳記念絵画館前の広い芝生広場などなど、一見すると公共施設、公園設備が広がっているので気づきませんが、あの広大な神宮外苑は言ってみれば広大な私有地であり、そこにある施設をリーズナブルに使っていたに過ぎないのです。(本文より)
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朝日新聞、毎日新聞、東京新聞がお得意の庶民レベルでいうなら、空地の所有者が空地にマンションを建てようとしたら、空き地で遊んでいた子供やその親たちが「遊び場を無くすな! マンション建設反対!」って騒いでいる感じでしょうか。
(いや、空き地を持っている人間は庶民なんかじゃない!って怒られそうですね)

<本文引用>------------
また、自治体の負担を少しでも軽くし、接種のスピードを上げようと自衛隊が運営する大規模様センターを稼働させれば、「システムの不備がある」「架空の接種券番号でも予約が取れてしまう」と批判。
続いて始まった職域接種についても「人員確保や公平性に課題」(62日・朝日新聞) などと、大企業優遇ではないかとの批判が上がりました。
たしかに突貫工事で体制を整えたので、綻びはそこそこにあるでしょう。それを走りながら直していったということなのだと思います。それを、いちいちここに変びがある、あそこにも綻びがあるとあげつらうことに何の生産性があるのか? 現場はそんなにもめげずにシステムを手直しし、運営していきました。ワクチン接種をできるだけ急ぐべきだというある程度の国民のコンセンサスに現場は官民挙げて応え、様々な方法で接種スピードを上げて目標を達成しました。夏になりワクチン不足となりましたが、まずは足らなくなるまで尽力した現場に対し評価してからでないと、手のひら返しのりを免れないのではないでしょうか?(本文より)
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行政の効率化。
少子高齢化の日本で行政の効率化を高めることは喫緊の課題のはず。
その一環の医療DXの基礎となるのがマイナ保険証。
令和6年(2024年)122日以降、従来の保険証は新たに発行されなくなり、「マイナ保険証」を基本とする仕組みに移行しています。
しかし、新聞やニュースを見ると、どうも、この「マイナ保険証」がお嫌いなようです。

毎日新聞は10月下旬から受け付けを開始したマイナ保険証の利用登録の解除申請が11月末までに13,147件に上ったことを報道していました
そりゃあ、マイナ保険証を問題を煽りまくっていた同紙にしてみたらうれしいニュースでしょう。
でも、こうした新聞は不正請求、事務負担、事務負担による事務ミスが引き起こす問題をほとんど報じません。
なりすまし受診に至っては把握すらできません。

202410月に投開票された衆議院選挙。
周知のとおり、与党である自由民主党と公明党は過半数割る結果となりました。

野党の主張や選挙報道番組を見ていると「裏金」を前面に出していた印象です。
経済政策、安全保障、財政、外交・・・。
国を取り巻く状況を考えると議論しなければならない論点は沢山あります。

なのに野党の主張や選挙報道番組のテーマは「裏金」一色。
「裏金」というといかにも印象は悪いですが、私にしてみると「不記載」。
問題ないのかといえば、問題はあるんでしょうが、政権を選択する選挙のテーマとしては、いささか小さ過ぎやしませんか、というのが個人的な感想です。

なのに野党の主張や選挙報道番組のテーマは「裏金」一色。
これって、ある意味、「善」と「悪」が簡単に決められるテーマなんですよね。

「善」と「悪」が簡単に付けられる。
「悪」を叩くのは心地よい。

以前読んだ橘玲氏の『バカと無知』
「正義は最大の娯楽」という言葉が思い出されます。

経済政策、安全保障、財政、外交って、あちらを立てればこちらが立たずみたいな話題です。
それに、そもそもそれらのテーマを考えるには、両論が冷静に併記されたニュースや、それがなければ、両論を文献にそれぞれ触れるなど、考えるためには、考える人が、自ら積極的に取りに行き、自ら考える必要があります。

つまり、「わかりにくいテーマ」なんですよね。

コスパやタイパを重視して「わかりやすさ」に飛びつくのもいいです。
でも私は、あえて「わかりにくさ」に飛び込むことも必要ではないかと思いました。


◆頭の中でシンクロした他の完読作品
『「わかりやすさ」を疑え』
『「反権力」は正義ですか』 
『「差別はいけない」とみんないうけれど。』
『みんな政治でバカになる』
『バカと無知』
『冤罪の戦後史  ―― 刑事裁判の現風景を歩く』 
『道徳感情はなぜ人を誤らせるのか ~冤罪、虐殺、正しい心』

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■読んだきっかけ:ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!
■読んで知ったこと:「わかりやすさ」の誘惑。
■今度読みたくなった作品:『正義を振りかざす「極端な人」の正体』山口真一(著)
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「わかりやすさ」を疑え (SB新書) - 飯田 浩司


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