『アメリカの罠 トランプ2.0の衝撃』

「交渉できるから」の裏にある本当の狙い。


NHKのニュースサイトにアメリカ大統領選の解説ページがあります。

「アメリカ大統領選挙の主要なスケジュール」というページを見ると、2024年1月15日の共和党の「アイオワ州の党員集会」から始まって、2025年1月20日の「大統領就任式」がスケジュール化されています。

ただ、気になったのはこのスケジュールの構成。

このスケジュールに並行して、主な出来事が書いてあるのですが、書いてある内容が「2024年1月16日 女性作家がトランプ氏を名誉棄損で訴えた民事訴訟口頭弁論」といったトランプ氏の、しかも、ネガティブな出来事が並んでいます。

もちろん、暗殺未遂事件の被害者になったことは書かれていません。

じゃあ、民主党のハリス氏に関する記述を探してみると「8月19日ー22日 民主党大会 正式に党の候補者が決定」くらい。

スケジュールを書きたいなら、スケジュールだけを書けばいいものを、なんか、こう、書き手、作り手の意図を感じてしまいます。

「大統領選挙 投開票日」は2024年11月5日です。


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書名:『アメリカの罠 トランプ2.0の衝撃』

著者:大野和基(著)他

出版:文藝春秋(2024.08)

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著者は、世界中の著名人へのインタビューを多く発表しているジャーナリストです。

「2024年の大統領選でトランプ氏が勝利したら、どのような世界になるのか?」というテーマで、世界の著名人へのインタビューをまとめています。


著者のインタビューに答えた著名人は以下の8名です。


イアン・ブレマー 

国際政治学者。毎年「世界の10大リスク」を発表。

ポール・ダンス  

トランプ政権下での人事管理庁の首席補佐官。

ポール・クルーグマン  

経済学者。ノーベル経済学賞受賞者。

ジム・ロジャーズ  

投資家。

ジョン・ボルトン  

トランプ政権下での国家安全保障担当大統領補佐官。

ジェフリー・サックス 

経済学者。

ジャック・アタリ  

経済学者。思想家。

ユヴァル・ノア・ハラリ

歴史学者『サピエンス全史』の著者。


ポール・ダンス氏については初めて知りましたが、他は聞いたことのある人たちばかりです。


ポール・ダンス氏はトランプ政権下で人事管理庁の首席補佐官を務めていました。

ポール・ダンス氏へのインタビューは、「闇の政府を一掃して、政府を民主的にする」というテーマです。


<本文引用>------------

間違いなく「闇の政府」は存在します。

我々はその「闇の政府」を一掃し、政府を透明にして、民主的にしたいと心底思っています。

「闇の政府」はお金持ちで権力のある利益団体によって、政府内に入れられた高官から始まっています。そういう人は大統領を通して国民を導く実際の方向よりも、その団体に利益をもたらすために仕事をします。議員などとして議会の内側に入る人もいれば、議会の外側にある利益団体にいる場合もあれば、メディアや学界にもいます。(本文より)

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ディープステート、いわゆるDSってやつですね。



イアン・ブレマー(国際政治学者)へのインタビュー「アメリカの敵はアメリカ」


なんか、先日見た映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』を思い出してしまうようなタイトルです。


<本文引用>------------

たとえば、トランプは政敵を標的にするべく、司法省を利用(悪用)すると約束しています。裁判所やキャリア職員によって制限を受けるでしょうが、ホワイトハウスや司法省の規範を破ることを厭わない忠実な人物が司法長官に就任したら、まさに司法が悪用されることにつながります。

そうして「ディープ・ステート」を一掃したトランプは、法の支配を破ることへの制約が少なくなります。

もし第二次トランプ政権が無法な行動をとった場合、連邦レベルではそれを抑制する救済策はほとんどないでしょう。議会が分裂したり、両院を共和党が支配した場合は、トランプの行き過ぎた行動をチェックすることはできません。判事の三分の一がトランプによって任命された最高裁は、独立性を保ったとしても、大統領に対して判決を執行する権限は限られています。

南北戦争の終結以来、アメリカが経験したことのないような憲法上の危険が発生する可能性があるのです。

ただし、重要なことは、トランプか民主党の候補者かどちらが勝っても、連邦政府に対する国民の信頼は低下するということです。

トランプが勝てば、左派は彼が行ういかなる変更も公然と非難するでしょう。

一方、民主党が勝てば、右派はシステムがトランプに不利に操作されている証拠として、トランプの現在の法的なトラブルに焦点を当てるはずです。(本文より)

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日本でも、与党の自由民主党と最大野党の立憲民主党で代表選が行われました。

代表がいれば、当然、それを推す人たちがいます。


代表選を争い勝利した人は、大抵、その後に「ノーサイド」を口にしますが、どうしてもわだかまりは残ります。

しかし、司法まで動かしてしまおうとする上に、それを堂々と口にしてしまうのは、何か桁が違うように思えます。


<本文引用>------------

これで、一一月のアメリカ大統領選に向けて、北朝鮮が「サプライズ」を起こすと予想される理由が増えました。北朝鮮は、トランプ勝利によってもっとも利益を得ると考えられる政府のひとつだからです。

プーチンも金正恩同様、トランプに返り咲いてほしいと思っています。その方が、交渉できるからです。

私が懸念しているのは、トランプ自身は交渉で上の立場に立っているつもりが、実は相手に操られることです。(本文より)

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プーチンと金正恩は我が国日本の隣国の元首です。

さまざまなメディアでは、この二人がトランプ氏の再選を望んでいるという報道がなされています。

その理由として挙げられるのが、「交渉できるから」という点です。


しかし、それは「交渉できるから」というよりも、「交渉で自分たちに有利な条件に持ち込むことができるから」ではないかと思います。


この点について、トランプ政権下で国家安全保障担当大統領補佐官を務めたジョン・ボルトン氏に行われたインタビュー「トランプは独裁者のカモになる」が参考になります。


<本文引用>------------

習近平はおべっかを使うことに非常に長けています。習近平はくどいほどトランプを持ち上げて、私はうんざりして見ていましたが、トランプは喜色満面でした。

金正恩も笑顔をたやさず、しきりにごまをすっていました。

習近平も金正恩もトランプは国際情勢を理解していないことを見抜いています。でも、そのことでトランプに屈辱を与えたいとは考えていません。もしそうすれば、彼を敵に回してしまうからです。トランプが再選されれば、どうやって彼につけこもうか、今も虎視眈々と考えているにちがいありません。

トランプはおべっかを使われるのが好きなので、多くの世界中のリーダーの結論は、トランプとうまくやるには「ごますりが効く」ということです。(本文より)

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少し不安になってきますね…。


<本文引用>------------

プーチンをはじめアメリカの敵対国のリーダーたちは、一期目でトランプの人物像をかなりはっきり掴んでおり、トランプが返り咲いたときにどのように扱ったらいいのかわかっています。

独裁主義者たちから見ると、トランプは操りやすいのです。

私が懸念するのは、アメリカの敵対国が安全保障についてのトランプの無知につけこみ、トランプの利益になると思われることを色々と準備していることです。

トランプが彼らの術中にはまってしまえば、その甚大な不利益は最終的にアメリカだけでなく、ロシアと緊張関係にある欧州各国、そして中国、北朝鮮と対峙する韓国 と日本もこうむることになるでしょう。 (本文より)

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国家元首同士の良好な関係は、実際の外交にどの程度影響を与えるのでしょうか?


<本文引用>------------

トランプの勘違いは、自分が金正恩と良好な人間関係を持っているから、アメリカと北朝鮮は良好な関係にあると考えていることです。

これは明らかな間違いです。

私は人間関係には何の意味もない、と言っているのではありません。でも、人間関係で国家間の関係が決まるわけではありません。(本文より)

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そりゃそうですよね。

「自分はあの人と仲がいいから、あの島を譲ったよ」なんて言ったら、国内から猛反発が来るでしょうから。

国家元首には、あくまで自国第一でいてもらわないと困りますよね。

ん? でもこれって、トランプ氏が頻繁に国に対して使う「アメリカファースト」という表現そのものですね。


しかし、これだけの著名人と会えるなんて、すごいことだと感じました。



◆頭の中でシンクロした他の完読作品

『アメリカの罠 トランプ2.0の衝撃』

『反知性主義: アメリカが生んだ「熱病」の正体』

『ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち』

『武器化する経済 アメリカはいかにして世界経済を脅しの道具にしたのか』 

『日本人の知らないトランプ再選のシナリオ』 

『ホワイト・トラッシュ ―アメリカ低層白人の四百年史』


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■読んだきっかけ:文化放送『おはよう寺ちゃん』2024.9.11の放送回。

■読んで知ったこと:「交渉できるから」の裏にある本当の狙い。

■今度読みたくなった作品:『私の半分はどこから来たのか』大野和基

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アメリカの罠 トランプ2.0の衝撃 (文春新書) - イアン・ブレマー, ポール・ダンス, ポール・クルーグマン, ジム・ロジャーズ, ジョン・ボルトン, ジャック・アタリ, ジェフリー・サックス, ユヴァル・ノア・ハラリ, 大野 和基
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