ローマとの戦闘中でも果てしなく続いていたユダヤ人同士の内部抗争。
子どものころ、「戦争は国をまとめる」なんて聞きました。
仮想敵国なんて言葉があるくらいです。
周辺国を見ていると、政権の支持率が低迷すると反日発言が増えるような気がします。
敵を置くというのは、自分たちがまとまるには一定効果があるようです。
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書名:『ユダヤ戦記 2』
著者:フラウィウス・ヨセフス
出版:筑摩書房(2002.03)
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著者は66年から73年までのユダヤ戦争の指揮官の一人で、戦争中、ローマにとらえられ、ローマの捕虜になった人。
捕虜になって改めてユダヤ戦争の前後を振り返り、記録し、まとめています。
本作は、筑摩書房版(文庫)『ユダヤ戦記』全三巻の第二巻。
本作の著者であるヨセフスが捕虜になり、戦争中のユダヤの民の不安と絶望の日々の話を収録しています。
第一巻の後半に、ユダヤ人側にヨセポスという人物が登場し、なかなかの活躍が描写されています。
このヨセポスが、本作の著者であるフラウィウス・ヨセフスだそうです。
ヨセポス、さまざまな戦術を繰り出し、ローマを苦しめます。
<本文引用>------------
ヨセポスは、この手の打ちようのない状況で、絶望に突き動かされて窮余の一策を思いつき、煮えたぎるオリーブ油を防壁からその下で楯を重ね合わせている者たちに浴びせかけるように命じた。配下の者たちは、準備ができると、ただちに大量の熱油を四方八方からローマ兵たちに浴びせ、そのうえまだ焼けるように熱い容器までも投げつけた。これは隊列を崩すことになった。ローマ兵たちは火傷を負い、恐ろしい苦痛を道連れに防壁から真っ逆さまになって転落した。オリーブ油は、どんな武具を身につけていようと、その下の頭からつま先まで体一面に容易にしみ込んでいった。油は、その性質上、すぐに熱くなるが、べっとりとしているためなかなか冷えず、まさに火炎のように肉体を食い尽くした。(本文より)
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以前読んだ『蒙古襲来と神風 -中世の対外戦争の真実』では、「糞尿投擲作戦」が出ていました。
ユダヤ人は、オリーブオイルですから、お上品ですね。
でも、梯子を登っていると、煮えたぎったオリーブオイルが上から降ってきて、しばらくすると、それが入った器が落ちてくる。
ドリフターズのコントで一斗缶や金ダライが上から落ちてくるネタがありますが、恐ろしくて、とても比較できません・・・。
そんな、ヨセフスも、残念ながらローマに囚われます。
戦争につきものの、デマやそれに扇動される民衆といった場面が登場します。
戦況が不利となってヨアンネスが自陣を逃げ出し、エルサレムに逃げ込みます。
じゃあ、逃げ込まれたほうは「くそう!ローマに立ち向かおう!」とはならず、相変わらず、ユダヤ人同士で内部抗争を繰り返します。
内部抗争で殺されたユダヤ人ニゲル。
<本文引用>------------
ペライアびとニゲルもゼーロータイの手から逃れられなかった。ニゲルはローマ兵たちを相手の戦争では傑出した働きをした。彼は何度も抗議の声を上げ、戦闘での傷跡を示したが、都の中を引きずり回された。そして城外に連れ出されると、生き延びることはできないと絶望的になり、せめて埋葬だけはしてくれるよう嘆願した。だがゼーロータイは彼がとくに望む埋葬などを認めるわけにはいかぬと恫喝し、彼を殺害した。ニゲルは死ぬ間際に、この戦争ではゼーロータイの上にローマ軍の報復と、飢餓と疫病が、そして何よりも内部抗争が見舞うようにと呪った。神は不敬神な者たちにこれらすべてを見舞わされた。なかでも当然の罰として、神は、程なくして、ゼーロータイに抗争での狂気を互いに味わわせるようにされたのである。(本文より)
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ローマ人以上に同胞であるユダヤ人を呪うユダヤ人。
で、呪われたユダヤ人の一派ゼーロータイはどうかというと。
<本文引用>------------
ニゲルが殺害されたことにより、ゼーロータイは自分たちが排除される恐れを少なくすることができた。他方、民衆の中の誰かが標的となって滅ぼされるときには、その口実がつねに考え出された。かつて敵対視した者たちは滅んでしまったため、平時には衝突していなかった者たちにたいしてはもっともらしい告発理由がでっちあげられた。ゼーロータイにまったく近づこうとしない者は傲慢であるとされ、逆に彼らに大胆に近づく者は彼らを見下しているとされ、彼らに仕えようとする者は陰謀を企む者と疑われた。(本文より)
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もはや、ユダヤ人。
他国と戦争できる状態ではないですね。
もちろん、細かい戦闘でのユダヤ人の攻勢はみられるものの、もちろん、ローマ優勢で戦争は終盤に向かいます。
◆頭の中でシンクロした過去の完読作品
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■読んだきっかけ:『ユダヤ戦記 1』フラウィウス・ヨセフス
■読んで知ったこと:ローマとの戦闘中でも果てしなく続いていたユダヤ人同士の内部抗争。
■今度読みたくなった作品:『ユダヤ戦記 3』フラウィウス・ヨセフス
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